2017 Fiscal Year Research-status Report
臨床的有意性を考慮した教育臨床心理尺度の開発と適用
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17K13922
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
桂川 泰典 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (20613863)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 臨床的有意性 / 社会情動的スキル / 称賛行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内外の文献研究を行い,教育分野における測度の臨床的有意性の検討およびその関連領域の研究を外観した。その後,教師が子どもの観察評定を行う際にどのような側面に着目しているかを分析した。特に教師文化や指導の特性を考慮して,教師が子どものポジティブな変化をどのように捉えているかを中心に調査を行った。 また,学校現場で行う教育的介入について実際に教師がどのような介入を行い,どのような効果が実証されているのかについて調査を行った。これらの成果は,日本メンタルヘルス学会第21回大会,日本教育心理学会第59回総会で発表され,その後提起された構成概念について教職経験者を交えた討議が行われた。 本内容ならびに関連領域に関する2017年の発表実績としては以下がある。 ・企画・司会:綿井雅康(十文字学園女子大学),企画・話題提供:桂川泰典(早稲田大学),話題提供:原口和博(「心の基礎」教育を学ぶ会),話題提供:小関俊祐(桜美林大学),話題提供:藤井 靖(明星大学),指定討論:加藤陽子(十文字学園女子大学),学校教育を通して育む社会情動的スキル,日本教育心理学会第59回総会シンポジウム(名古屋),2017,58-59 ・飯島有哉・山田達人・桂川泰典,教師が行う「ほめ」の構成要素に関する検討,日本メンタルヘルス学会第21回大会(札幌),2017 ・中齋美咲・大月友・桂川泰典,臨床心理学領域における行動変動性研究の応用,早稲田大学臨床心理学研究,2017,17(1),107-113
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに国内外の文献研究を行い,教育分野における測度の臨床的有意性の検討およびその関連領域の研究を外観した。 また,教師が子どもの観察評定を行う際にどのような側面に着目しているかを分析した。特に教師文化や指導の特性を考慮して,教師が子どものポジティブな変化をどのように捉えているかを中心に調査を行い,学会発表を行っている。 また,実際に教師がどのような意図的な指導介入を行い,どのような効果が実証されているのかについても国内外で文献調査を行った。特に,児童生徒のスキル獲得のうち,社会情動的スキルと呼ばれる,構成概念が十分に整理されていない領域について,特に海外文献を中心とした調査,分析を行った。 上記の調査を通して整理された,観察ポイント,介入ポイントについて,教職経験者を交えた討議が行いその妥当性の検討が終わっている。
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Strategy for Future Research Activity |
教育場面における子どもの状態像をとらえる観察評定の指標については概ね整理が終わっている。 1)今後はこれらを統合し子どもの状態像を簡易かつ包括的にとらえる観察評定の指標(学校教育版CGI)を作成する。小・中・高の学校現場の教師たち(各60名[1校種につき3校以上]、計180名)に質問紙調査を行う。質問紙は「精神的充足・社会的適応力」評価尺度および今回開発した「学校教育版CGI」を用い,その相関関係を分析することで臨床像と測度の反応性を明らかとする。 2)中学校3校(40クラス:約1200名)に調査を依頼し,4月および12月の2時点での縦断調査を行う。「精神的充足・社会的適応力」評価尺度および「学校教育版CGI」を用いる。「学校教育版CGI」得点の「不変群」と「微変化群」の2群を独立変数,「精神的充足・社会的適応力」評価尺度の各因子を従属変数としてt検定を行い,CGIの微妙な変化が「精神的充足・社会的適応力」評価尺度にどのように反映されるかについて明らかにすることで解釈可能性の検討につなげる。また,5名の教師に半構造化インタビューを実施し,CGIの微妙な変化と「精神的充足・社会的適応力」評価尺度の因子得点変化が認められた事例について,その因果関係を日常の様子から後方視的に考察してもらう。 3)「学校教育版CGI」得点の変化に影響を与えている「精神的充足・社会的適応力」評価尺度の各因子について介入を行い,CGI得点の変化有無を分析する。3)とは異なる中学校2校(計4クラス)に依頼を行い,4月(pre),12月(post)の調査およびその間の介入を実施する。介入は「『精神的充足・社会的適応力』評価尺度を用いた中学校指導案」(菅野ら,2012)および「学校教育を通して育む社会情動的スキル」(日本教育心理学会第59回総会シンポジウム)を参考に担任と協議により決定する
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