2018 Fiscal Year Research-status Report
臨床的有意性を考慮した教育臨床心理尺度の開発と適用
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17K13922
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
桂川 泰典 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (20613863)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 臨床的有意性 / 称賛行動 / 精神的充足 / 社会的適応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
教師が子どものポジティブな変化をどのように捉えているかについて調査を行うとともに,実際に教師が捉えている観察結果と学校適応に関する指標の関連について分析した。また,上記の捉えに基づいて行われる教師の介入が子どもの状態にどのような影響を与えるかについて分析を行った。 これらの成果は,日本メンタルヘルス学会第22回大会,The 40th annual Conference of the International School Psychology Association等で発表された。教師の見立てに基づく介入によって,短期的にはポジティブな変化が確認されたが,子どもの長期的な状況をどの程度予測できるかについては引き続き調査,検討が必要である。 本内容ならびに関連領域に関する2018年の発表実績としては以下がある。 ・飯島有哉・桂川泰典,児童生徒への称賛行動が教師自身のメンタルヘルスに与える効果,日本メンタルヘルス学会第22回大会(東京),2018 ・Iijima, Y., & Katsuragawa, T., The Relationships of teachers’ praise with their burnout and work engagement. The 40th annual Conference of the International School Psychology Association, Tokyo, July2018 ・Iijima, Y., & Katsuragawa, T., The Influence of teacher’s praise on students’ cognitions: subjective adjustment to school and stress response. 2nd Regional Meeting of International Society for Adolescent Psychiatry and Psychology, Osaka, June 2018
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに教師が子どもの観察評定を行う際にどのような側面に着目しているかについて調査を行い,指標化を行ってきた。また,実際に教師が捉えている観察結果と学校適応に関する指標の関連,および教師が児童生徒に対して学校適応を促す介入(例:称賛行動)を行った際の短期的な効果についての分析を行った。しかし,現時点ではシングルケースデザインとなっており,結果の一般性は担保できていない。また,指標の妥当性についても十分には担保されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
1)教師が子どもの観察評定を行う際に着目している側面について,簡易的にとらえる観察評定の指標(学校教育版CGI)の妥当化手続きを進める。中・高の学校現場の教師たち(各60名、計120名)に質問紙調査を行う。質問紙は「精神的充足・社会的適応力」評価尺度および今回開発した「学校教育版CGI」を用い,その相関関係を分析することで臨床像と測度の反応性を明らかとする。 2)中学校3校(40クラス:約1200名)に調査を依頼し,4月および12月の2時点での縦断調査を行う。「精神的充足・社会的適応力」評価尺度および「学校教育版CGI」を用いる。「学校教育版CGI」得点の「不変群」と「微変化群」の2群を独立変数,「精神的充足・社会的適応力」評価尺度の各因子を従属変数としてt検定を行い,CGIの微妙な変化が「精神的充足・社会的適応力」評価尺度にどのように反映されるかについて明らかにすることで解釈可能性の検討につなげる。 また,5名の教師に半構造化インタビューを実施し,CGIの微妙な変化と「精神的充足・社会的適応力」評価尺度の因子得点変化が認められた事例について,その因果関係を日常の様子から後方視的に考察してもらう。
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Causes of Carryover |
学校への調査打ち合わせ旅費が減額であった。先方の依頼により当該校を訪れる用務(旅費先方持ち)があり,その際に調査を同時に実施したため。
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