2020 Fiscal Year Research-status Report
嗅覚刺激による想起経験が高齢者の認知機能および精神的健康に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
17K13924
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
山本 晃輔 大阪産業大学, 国際学部, 准教授 (60554079)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 嗅覚 / 自伝的記憶 / 加齢 / 認知機能 / 嗅覚同定能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は大別し,3件の研究を行った。研究1では,本研究における重要な指標の1つである嗅覚刺激によって想起される自伝的記憶の機能尺度の開発を開始した。従来の先行研究で使用された項目を収集し,オンラインで調査を実施する基礎準備を行った。およそ80項目が収集され,今後因子分析的な検討を通して,必要な項目を精査する予定である。研究2では,昨年度に引き続き,自伝的記憶の特性をより詳細に測定することのできるAMCQ(Autobiographical Memory Characteristics Questionnaire)の日本語版を作成し,その信頼性および妥当性を検討するための調査を行った。その結果,6因子構造が明らかになり,具体的には第1因子「快不快感情」,第2因子「場所」,第3因子「共有」,第4因子「感情強度」,第5因子「確信」,第6因子「現実感」であった。この尺度を用いて,高齢者での応用が期待できる。研究3では,認知症を対象とした嗅覚と自伝的記憶に関する文献展望を行い,レビュー論文を執筆した。海外ではすでに軽度認知症患者を対象とした研究が複数行われており,いずれも嗅覚手がかりによる一定の想起効果が確認されていることがわかった。これらの知見は2021年度の学会で発表予定である。関連する研究発表も含め,2020年度の学会発表件数は計5件であった。学術論文として,計4編が審査の結果,採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により発表の場として考えていた国際学会が延期されるなど,研究の進展に遅れが生じたものの,3件の研究を行い,学会発表を5件行った。またその一部を4編の論文とした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,若年者および高齢者を対象とした実験,調査を行う。また,2020年度の成果について,積極的に学会発表,論文化を行う。延長後の最終年度となるので総括を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19により,国際学会の延期,高齢者への実験が困難な状況であったため,遅延が生じた。それに要する費用が次年度に繰越となった。繰越額を踏まえて,次年度は計画的に執行する予定である。 2020年度に引き続き,実験およびWEB調査を行う。そのための費用,データ入力・分析補助の人件費,研究成果を発表する出張費,掲載論文の審査料,抜刷代等が主な使用額にあたる。
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