2023 Fiscal Year Annual Research Report
Examining the Impact of Olfactory Memory Recall on Cognitive Function and Mental Health in Older Adults
Project/Area Number |
17K13924
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
山本 晃輔 大阪産業大学, 国際学部, 准教授 (60554079)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 嗅覚 / 自伝的記憶 / 加齢 / 認知機能 / 精神的健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は,前年度までに行った嗅覚刺激による記憶想起が高齢者の精神的健康に及ぼす影響を検討した実験結果をまとめて論文化すること,また最終年度であるため,ここまでの成果を総括することが目的であった。 昨年度の調査では,若年者,高齢者各200名に日誌法という方法を実施し,日常生活のなかで遭遇したにおいによって過去の出来事が思い出された際に,その記憶に関する特性(快不快度など)の評価等を求め,それと同時に参加者の現在における個人の主観的幸福感を測定する主観的幸福感尺度を実施した。その結果,高齢者のみにおいて,自伝的記憶の快特性と主観的幸福感との間に有意な相関関係が確認された。すなわち,においによって思い出された記憶がポジティブであるほど,精神的健康が高まる可能性が示された。本年ではこの成果を論文化し,審査の結果,Journal of Japan Association on Odor Environment誌に掲載された。 また,上記の成果に加えて,ここまで,嗅覚刺激によって想起される自伝的記憶の機能を評価する尺度であるFAMOS (Function of Autobiographical Memory cued by Odor Scale)の開発,嗅覚刺激におけるポジティビティ効果の生起確認などに関する実証的研究を行ってきた。最終年度である本年では総括として,これらの成果を整理し,嗅覚刺激による記憶想起が高齢者の認知機能や精神的健康に及ぼす効果について概説した。この論文はにおい・かおり環境学会誌に掲載された。これらの成果が評価され,におい・かおり環境協会から学術賞を授与された。その他関連研究も含めて本年度の研究成果は学会発表7件,掲載論文3件であった。
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