2018 Fiscal Year Research-status Report
Learning process in senior year education as part of undergraduate program
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17K13925
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
山田 嘉徳 大阪産業大学, 全学教育機構, 准教授 (60743169)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 卒業研究ゼミ / 状況的学習 / 学び / 協同 / 4年次教育 / 高等教育 / 文化心理学 / モデル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学士課程教育の一環としての4年次教育の学びのプロセスを解明し、数少ない4年次教育の学習研究の蓄積に寄与することを目指すものである。大学教育の集大成とされる4年次教育はどのような意味で「集大成」なのか、その内実を学生の学びのプロセスに着目し、検討していく。本研究の4年次教育における学びプロセスの検討とは、(1)4年次教育における教授・学習環境を下支えする学習メカニズムの横断的検討、(2)初年次から4年次に至る学びの軌跡を明らかにする縦断的検討、(3)4年次教育における学びのプロセスを体系的に理解するための理論的検討を指す。 前年度の研究では、4年次教育のなかでも卒業研究ゼミの実践に焦点を絞って取り上げた。(1)多様で固有な卒業研究ゼミでの学生の学びを横断的に検討する場合には、講義での学びを相対的に比較することが有効であることを論じ、a)座席等を含む授業形式、b)学びにみられる振る舞い、c)共同体としての性質、d)魅力-不満という4つの観点から整理できることを示した。この成果を、著書(分担執筆)としてまとめた。また、(2)教師―学生間にみられる相互作用の共変化過程を描写し、その様相を縦断的に検討するためには、文化を記号発生の観点から捉える文化心理学的アプローチが活かせることを論じた。卒業研究ゼミの変容過程を4段階で区切り、描けることを示した。同様に、この知見を著書(分担執筆)としてまとめた。さらに、(3)4年次教育の学びのプロセスを効果的に示すのには、記述的・分析的な学びのモデル化によるアプローチが有効であることを論じた。前年度以前の研究(研究代表者の博士論文に基づく)をベースに、上記(1)及び(2)の分析的研究の成果、ならびに(3)の理論研究の成果をとりまとめ、これらを統合して単著としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)から(3)までの研究課題につき、それぞれの成果を一定程度まとめることができ、4年次教育の対象を卒業研究ゼミに絞ったことによって、次年度以降の調査ならびに分析の視点が明瞭となった。一方、学士課程教育の一環として展開される学びのプロセスの解明に向けた経験的なフィールド研究も益々必要となることが示された。今後、高等教育研究のレビューを進め、初年次から4年次に至る学びの軌跡を具体的に明らかにする作業に入りたい。ただし、すでに文献収集は完了しており、レビューは終えつつある。また、前年度以前の成果(研究代表者の博士論文に基づく)と前年度の成果の一部をまとめ、単著として刊行できた。以上を総合して、現状までの進捗状況は、「順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、4年次教育を学士課程教育の一環として捉える視点から整理すべく、高等教育研究のレビューを進める。その際、近年の研究動向にさらに目配せし、実践に寄与する知見の提起を図る。また現在、レビュー論文を投稿中であり、アクセプトを目指す。並行して、前年度の成果のなかでも文化心理学的アプローチを活かし、初年次から4年次に至る学びの軌跡を現在参入中のフィールドで得られた知見に基づき、具体的に明らかにする作業に入りたい。 なお調査対象の拡充に伴って、新たに分析に費やす予算も必要となるが、現時点では先行研究の整備を通じ、理論研究が先行しているので、理論研究に必要となる書籍等の消耗費を調査分析の費用に補填する。こうした研究の進展に応じた対処によって、適切に研究推進を図っていく。
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Causes of Carryover |
理論研究が先行し、文献収集に主に予算が充てられた一方、調査ならびに分析が遅れ、その結果として学生アルバイトに支払う謝金が未使用となったことで、当該助成金が生じた。当該助成金は、翌年度以降の謝金に充てる計画としている。
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Research Products
(4 results)
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[Book] 文化心理学2019
Author(s)
木戸 彩恵、サトウ タツヤ
Total Pages
304
Publisher
ちとせプレス
ISBN
9784908736131