2020 Fiscal Year Research-status Report
Learning process in senior year education as part of undergraduate program
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17K13925
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
山田 嘉徳 大阪産業大学, 全学教育機構, 准教授 (60743169)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 卒業研究ゼミ / 状況的学習 / 協同 / 社会文化的アプローチ / 学習研究 / 学士課程教育 / 高等教育の質の保証 / モデル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学士課程教育の一環としての4年次教育の学びのプロセスを解明し、数少ない4年次教育の学習研究の蓄積に寄与することを目指すものである。大学教育の集大成とされる4年次教育はどのような意味で「集大成」なのか、その内実を学生の学びのプロセスに着目し、検討していく。本研究の4年次教育における学びプロセスの検討とは、(1)4年次教育における教授・学習環境を下支えする学習メカニズムの横断的検討、(2)初年次から4年次に至る学びの軌跡を明らかにする縦断的検討、(3)4年次教育における学びのプロセスを体系的に理解するための理論的検討を指す。 前年度は課題(3)に注力し、学士課程教育の一環としての4年次教育の学びのプロセスを記述するのための具体的方法について検討した。4年次教育における学びプロセスとして「学びのカリキュラム」という視点から学生の学びの生態を捉える社会文化的アプローチが有効となることを方法論的な側面から議論を展開し、この成果の一部について大学教育学会誌「大学教育における質的研究の多様な展開」(共著)にまとめた。高等教育研究において議論されている「学習成果における教育の質の保証」という枠組みからでは4年次の学生の学びのプロセスとその多様性を十分に救い上げられない点を改めて批判的に検討し、適切に調整された概念的フレームが新たに必要となることを仔細に論じた。さらにこの議論の過程で、こうした概念的フレームが学習研究の蓄積にどう寄与し得るのか、4年次教育フィールド研究の知見に根ざしたかたちで具体的示唆を導出するという新たな課題が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度まで当初予定の、上述の課題(2)の実査に係る調査対象学生4名への気聞き取りがコロナ禍の影響により実現困難となってしまったが、前年度はこれを実現できた。またインタビューの分析において、学習研究への寄与を視野に入れた理論的整備に着手することが新たに課題として浮上してもいたが、『その問いは誰のものかー先住民の科学・西洋科学・科学教育ー』(ナカニシヤ出版)の出版(単著、翻訳)が果たされ、こうした成果をもって現在までの進捗状況は総じて「順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策に係る研究計画の大きな変更は、特に必要ないものと考える。ただし、高等教育研究への具体的示唆を導出するためには、新たに高等教育研究においての質的研究の議論を補強する必要がある。この点を新たに重要な研究課題として捉え、上述の課題(3)の理論研究に位置づけて継続する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、インタビュー調査に係る当初予定の経費が一部、実質的に不要となったためである。また次年度には、新たに研究課題として浮上した学習研究における文献調査の遂行が必要となり、翌年度請求分はこの調査に使用する計画である。
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Research Products
(4 results)