2017 Fiscal Year Research-status Report
姿勢教育が大学生の授業関与へ及ぼす影響:立腰姿勢とマインドフルネスに着目して
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17K13927
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Research Institution | Poole Gakuin University |
Principal Investigator |
村上 祐介 プール学院大学, 教育学部, 講師 (10780190)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マインドフルネス / 立腰姿勢 / エンゲージメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,大学生の学習態度改善のアプローチとして,立腰姿勢とマインドフルネスを組み合わせ,大学生の疲労の緩和やスマートフォン使用(ゲーム等)欲求の抑制,授業に対するエンゲージメント(関与)を促進できないか検証することを主な目的とする。初年度には,授業を想定した動画を用い,生理指標等でその効果を測定する基礎研究を,最終年度には,実際の授業を対象とした介入研究を実施する予定であったが,下記の通り,基礎研究を1つ,介入研究を2つ初年度に実施した。 (1)基礎研究:大学生14名を対象に,参加者内計画で姿勢条件(立腰椅子条件と通常椅子条件)を設定し,マインドフルネス呼吸法(10分間),動画視聴(13分間),各種指標の測定を行い,立腰椅子でマインドフルネス呼吸法を実施した条件の方が,通常椅子で同呼吸法を実施した条件に比べ,動画視聴後の怒りが低いことを明らかにした。 (2)介入研究1:大学生8名を,参加者内計画で立腰椅子条件と通常椅子条件に振り分け(授業2週間分を介入対象),授業(心理学系科目)終了後に各種指標への記入を求めた。その結果,立腰椅子に座って授業を受けることによって,通常椅子に座った際に比べて,授業を楽しく,また興味深く感じ,授業中の気分が良いと感じることが明らかになった。 (3)介入研究2:教職の心理系科目でマインドフルネスを導入する一環として本研究を実施し,研究参加意思を表明した45名を分析対象とした結果,立腰椅子でマインドフルネス呼吸法を実施した条件の方が,通常椅子で同呼吸法を実施した条件に比べ,授業後に集中できず頭がよく働かない状態が低いことが示唆されたが,その得点差は有意傾向であった。 以上の知見より,立腰姿勢とマインドフルネスによって,学習場面の心的状態が改善される可能性があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた立腰姿勢とマインドフルネスを組み合わせた基礎研究を実施することができ,また,最終年度に計画をしていた介入研究も予備的に実施することができたことから,おおむね順調に進展している。しかし,これらの研究成果について,学会発表等の準備は進んでいるものの,論文化が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の予定におおむね準拠しつつ進める予定である。 (1)研究実施:当初予定していた個数の立腰椅子を確保することができなかったため,実験デザインを適宜修正しながら介入研究を行う予定である。初年度実施の研究の課題から,最低2週間分の授業において,36名の大学生を対象とし,参加者内計画でマインドフルネス呼吸法の実施と姿勢条件を設定する。効果測定の指標には,授業に対する感情的エンゲージメント,行動的エンゲージメント,スマートフォンの使用欲求等の尺度を用いる。 (2)成果報告:上記研究実施と並行して,初年度の実験結果を論文化する。その他,これまでの研究成果に関する自主企画シンポジウムを国内学会で行う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)本研究に使用する物品等を購入するには十分な額ではなく,次年度の物品等の購入に利用することを検討したため。 (使用計画)研究参加者への謝金や物品購入日として,翌年度分に追加して使用を希望する。
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