2018 Fiscal Year Research-status Report
姿勢教育が大学生の授業関与へ及ぼす影響:立腰姿勢とマインドフルネスに着目して
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17K13927
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Research Institution | Momoyama Gakuin University of Education |
Principal Investigator |
村上 祐介 桃山学院教育大学, 教育学部, 講師 (10780190)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 立腰姿勢 / エンゲージメント / マインドフルネス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,大学生の学習態度改善のアプローチとして,立腰姿勢とマインドフルネスを組み合わせ,大学生の疲労の緩和やスマートフォン使用(ゲーム等)欲求の抑制,授業に対するエンゲージメント(関与)を促進できないか検証することを主な目的とする。 2年目となる2018年度には,初年度に実施した介入研究(立腰椅子に座って授業を受けることによって,通常椅子に座った際に比べて,授業を楽しく,また興味深く感じる)の再現を目的とした研究を行った。具体的には,「教育心理学(中・高)」を履修する教育学部生21名(男性13名,女性8名)を対象に,X週目とX+1週目で,それぞれ立腰椅子と通常椅子に座って授業を受けてもらった。分析の結果,感情的エンゲージメント,行動的エンゲージメント,授業中に感じた不快な身体感覚,スマートフォン使用欲求に条件間で有意な得点差があるとはいえなかった。 一方,これらの変数間の相関係数を条件ごとに算出したところ,不快な身体感覚と感情的エンゲージメントとの間には負の相関が示されたが,立腰椅子ではその傾向が弱く,通常椅子では中程度の相関関係であった。すなわち,身体に不快感を抱きにくくなるほど,授業に関心を示すことが明らかになったが(あるいは,授業に関心を示すほど,身体の不快な感じが気にならなくなる),その傾向は通常椅子で授業を受ける場合により顕著であった。痛みの緩和をもたらす立腰椅子の使用によって,参加者の間でポジティブな感覚の生起にばらつきが生じ,感情的エンゲージメントと不快な身体感覚の関係性が弱まった可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は予定していなかった,介入研究の再現に着手することができたため,おおむね順調に進展している。しかし,初年度に実施した3つの研究について,自主企画シンポジウムの開催やポスター発表を通じて成果の公表はできたものの,論文化が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2019年度には,2018年度の自主企画シンポジウムやポスター発表等での議論を踏まえ,これまでの実験結果の論文化を行うことに専心する。その上で,マインドフルネスに基づくワークと姿勢操作を組み合わせた「マインドフルネス姿勢教育」について,今後の展開に結びつくような予備的実験も実施する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)当初予定していた論文化による研究成果の公表時期を延長することに伴い,次年度の物品等の購入に利用することを検討したため。 (使用計画)研究成果の公表に必要な物品費(学術文献の購入費)やその他(投稿料等)経費として,翌年度分に追加して使用を希望する。
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Research Products
(3 results)