2018 Fiscal Year Research-status Report
曖昧な発話意図を解釈する能力の発達課程とその神経基盤の解明
Project/Area Number |
17K13928
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
村上 太郎 九州女子大学, 人間科学部, 講師 (20762074)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 語用論的コミュニケーション / 指示対象付与 / 幼児 / 意図推論 / NIRS / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度では、研究1「指示対象付与と心の理論・視点取得との関連」に関する行動実験を行うことを主な計画としていた。この計画を実施することによって、定型発達幼児における指示対象付与(語用論的能力)との発達的連関を示唆する社会的認知能力について検討を行うことが可能となる。また、研究3「幼児の指示対象付与の神経基盤の特定」について、近赤外分光法(NIRS)を用いた調査を行うことを予定としていた。 研究の進捗状況としては、当該年度に研究1および研究3に関する調査を進め、データを取得することができた。現在、分析を進めながら発表や論文化を目指しているところである。 現時点での成果としては、指示対象付与課題において曖昧な発話を解釈する能力と、誤信念課題(心の理論課題)に通過する能力との間には正の関連があることが確認されている。一方で、他者の見え方と自分の見え方との違いをふまえて指示対象を同定する視点取得課題と、指示対象付与課題との間には弱い負の関連が示唆された。曖昧な発話を解釈する能力に関しては3歳から5歳にかけて向上する一方で、他者の視点に立って曖昧な指示対象を同定することが難しくなる、という結果から、加齢とともに発話の曖昧性への気づきが高まり、それゆえに「迷ってしまう」子どもの姿が浮かび上がってくることが考えられる。この結果は選択行動や言語応答といった行動指標を用いた分析であるため、31年度は視線などの行動指標も用いて分析を行っていくことを計画している。 また、NIRSを用いた結果の解析についても進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度では、計画していた調査(研究1・3)を実施することができたため、おおむね順調に進展していると評価する。 しかしながら、分析・発表までにもう少し時間が必要であるため、一層の努力を行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に取得したデータの分析を進め、その結果を発表・論文刊行につなげていく。 発表先は国内外の学会、そして論文に関しても国際ジャーナルへの投稿を見据えている。
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