2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Cognitive Behavior Therapy for University Students Experiencing Difficulty with Academic Adjustment
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17K13940
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小川 さやか 長崎大学, 保健センター, 助教 (80629171)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知行動療法 / 修学不適応感 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学生の修学状況はメンタルヘルスとの関連が深く,近年,大学生のメンタルヘルス不良による休学は増加している。休退学者の中には,大学への修学に関して,不適応感を感じている者も多い。これまで我々は,修学不適応感をもつ者は,ソーシャルサポート満足感高群に比べてソーシャルサポート満足感低群の心理的苦痛保有リスクが有意に高いことを明らかにしている。修学支援の一環として,国内外の大学においても抑うつ予防の認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:CBT)が行われているが,修学不適応感を持つ者に特化したプログラムは開発されていないのが現状である。そこで本研究では,修学不適応感を持つ大学生に対し,修学不適応感を緩和することを目的とした認知行動療法を開発し,効果検証を行う。 令和3年度は,令和2年度に引き続き修学不適応感を持つ大学生に対し,リクルートを行い,同意の得られた者に修学不適応感を緩和することを目的とした認知行動療法プログラムを実施する予定であったが,新型コロナウイルスの影響によりリクルートを行うことができなかった。令和3年度はこれまでにプログラムを終了した35名のデータ(修学不適応感尺度,BDI- II,GHQ-28等)を用いて,介入前,介入後1ヶ月で統計解析を行った。その結果,参加者の半数以上(35名中23名)に介入1ヶ月後の修学不適応感の改善がみられた。対応のあるt検定を行った結果,介入前に比べ,介入1ヶ月後 のうつ症状を測定するBDI-IIスコアが有意な低下を示した。精神的健康度を測定するGHQ-28の合計得点においても介入前に比べ,介入1ヶ月後は有意に減少した。さらに詳しい検討を行うため,レジリエンスの高低によって共分散分析を行った結果,介入前と介入1ヶ月後において,レジリエンス低群とレジリエンス高群の間のGHQ-28の下位因子である社会的活動障害の変化に有意差がみられた。
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