2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a training program for clinical psychologists supporting suicide attempters.
Project/Area Number |
17K13956
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
高井 美智子 埼玉医科大学, 医学部, 客員講師 (80650829)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自殺未遂者 / 再企図予防 / 臨床心理士 / トレーニングプログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自殺未遂者支援を行う機会のある臨床心理士を対象に、自殺未遂者の再度の自殺を防ぐための支援に資する知識やスキル等を明らかにし、臨床心理士の専門性や独自性に特化した自殺未遂者支援のためのトレーニングプログラムを開発し、その効果を検討することを目的とする。具体的な方法として、以下の3つの段階を経て研究目的を遂行する。①自殺未遂者支援を行う上での障壁、必要とされる知識とスキルを検討する。②自殺未遂者支援のためのトレーニングプログラムの内容及び構成を検討し、開発する。③トレーニングプログラムを試行的に実施し、その効果と改善点を明らかにする。 平成30(2018)年度においては、平成29(2017)年度の成果をもとに、臨床心理士による自殺未遂者の再度の自殺を防ぐための効果的な支援の提供に資するトレーニングプログラム案を作成するため、以下の方法を実施した。 ①トレーニングプログラム作成に向けた予備的調査:1)平成29(2017)年度に実施したヒアリングの結果より抽出された項目を参考に、本研究の研究協力者らと協議を行い、トレーニングプログラムに盛り込むべき内容を整理した。2)トレーニングプログラムの効果指標となる項目及び尺度を、既存の尺度(自殺の危機加入尺度(SIRI)短縮版等)を参照にしつつ検討した。 ②トレーニングプログラムの作成:本研究の連携研究者および研究協力者らと、具体的なプログラム内容および構成、実施マニュアル、評価指標について協議し、トレーニングプログラム案を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30(2018)年9月に、心理職の国家資格(公認心理師)の第1回試験が実施された。研究代表者ならびに研究協力者全員がこの試験を受けたため、トレーニングプログラムの内容や効果指標等について議論する時間や機会を十分に設けることが難しかった。 しかし、平成30(2018)年度中に、計2回の研究会議を開催し、自殺未遂者支援を行う臨床心理士に対するトレーニングプログラムの具体的な構成や内容について検討し、トレーニングプログラム案を作成することができた。 以上より、予定よりはやや遅れているが本研究は概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度では、平成30(2018)年度の成果を国内外の学術集会等で発表するとともに論文化をすすめる。また、トレーニングプログラム案を、保健医療領域で活動する臨床心理士を対象に試行的に実施し、その効果と改善点を明らかにする。具体的には、以下の方法により実施する。 ①トレーニングプログラムの実施可能性の検討:1) 自殺未遂者支援に造詣のある対人援助職および学識経験者5 名より、トレーニングプログラム案についてのヒアリングを行い、その実施可能性を検討する。2) ヒアリングの結果を踏まえ、トレーニングプログラムおよび実施マニュアルを改定する。 ②トレーニングプログラムの試行:1) 保健医療領域で自殺未遂者に対応する機会のある臨床心理士10 名を対象に、トレーニングプログラムを試行的に実施する。プログラム終了後に、効果測定のための質問票への記入を依頼する。2) トレーニングプログラム終了後に、プログラム参加者へのグループインタビューを実施し、使用した資材、内容等について意見を聴取する。3) トレーニングプログラム受講前より受講後の方が、効果指標となる尺度の得点に有意な改善が認められるか検討するため対応のあるt 検定等を用いてデータ分析する。また、テキスト記載の質問項目については内容分析を用いて質的に分析する。4) グループインタビューから得られた問題点や改善すべき点を踏まえて、本研究の研究代表者、連携研究者および研究協力者らとプログラム内容、資材、実施マニュアルを必要に応じて改定する。
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Causes of Carryover |
研究協力者への謝金を計上していたが、研究協力者の一人が日本学術振興会特別研究員(PD)のため謝金を辞退されたことや、研究会議の開催頻度が予定よりも少なかったため研究協力謝礼の支出が予定額を下回った。また、平成30(2018)年度は、心理職の国家資格(公認心理師)試験が9月に実施され、その受験のため国際学会での成果報告を見送り、旅費の支出が予定額を大幅に下回った。 2019年度の使用計画としては、トレーニングプログラムに盛り込むべき内容を検討するための討議に必要な経費として、打ち合わせ旅費、専門家への討議謝礼、打ち合わせを実施する会場費を計上する。トレーニングプログラムで使用する資材、および実施マニュアルのレイアウト・印刷費、文具一式の費用も要する。トレーニングプログラムの効果検証のための質問紙調査では、調査票のレイアウト・印刷費についても計上する。また、成果報告のための旅費(国内外)、英文校正費、論文執筆関連図書代を要する。国内外の学会参加費も合わせて計上する。
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Research Products
(10 results)