2018 Fiscal Year Research-status Report
Temporal effects of acute stress response on decision-making
Project/Area Number |
17K13967
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
山川 香織 東海学園大学, 心理学部, 助教 (00742131)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ストレス / 生理心理学 / 精神神経内分泌免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性ストレス反応が意思決定に及ぼす影響に関しては,これまで,ストレス負荷直後の検討が多く行われてきたが,近年では数時間後において,直後とは異なる意思決定への影響が報告されている(経時効果)。しかしながら,ストレスによる経時効果が価値評価にどのような影響を与えるかについては未だ不明である。そこで,本研究は急性ストレス負荷後の時間経過に伴う価値評価の推移について検証することを目的とする。さらに,コルチゾールや心臓血管系などストレスに関わる生理反応と意思決定課題成績の関連を検討することで,急性ストレス反応が認知・行動に与える影響の背景にある生物学的メカニズムの解明を目指す。
平成30年度は,集団的トリア社会的ストレス課題を用いて,心理的・生理的ストレス反応への影響について検証を行った。急性ストレス反応を操作するためには,社会的評価懸念と制御可能性の欠如を伴う課題が有用であるといわれている。模擬面接場面を用いたトリア社会的ストレス課題(TSST, Kirschbaum et al., 1993)は内分泌系および心臓血管系の急性ストレス反応を惹起するとして,広く用いられている標準的な課題である。しかしながら,単独参加者を対象にした課題であるため,研究遂行上のコストが問題であった。そこで,2-7人のグループ形式を採用した新たなプロトコルであるTSST-G(Von Dawans et al., 2011) を用いて,集団面接場面による心理生理的ストレス反応について検証を行った。その結果,コルチゾール反応および主観的ストレス感の結果から,単独実施のTSSTと同様のストレス反応が生じることが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ストレス課題に問題点が確認されたため,最終年度に予定していた本実験前に追加実験を行った。また,研究代表者の職位が変わったことにより,研究環境面で円滑な研究の遂行が困難であったため,補助事業期間1年間の延長を申請し,すでに承認済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,平成30年度に予定されていた本実験を行う予定である。急性ストレス反応が確率学習課題において,どのような影響を与えるのか,さらに,ストレス後の時間経過が意思決定にどのような影響を与えるのかについて検討を行う。実験はストレス条件と統制条件にわけられ,実験参加者は2日間の実感に参加する。ストレス課題(もしくは統制課題)を実施直後に,確率学習課題を行う。その後,一度退室したのち,110分後に来室し再度確率学習課題を行い,ストレス負荷直後との比較を行う。確率学習課題は利得条件,損失条件,混合条件の3条件とし,報酬随伴刺激への選択率を比較検討する。また唾液中コルチゾールを測定し,背景にある生物学的メカニズムについて検証する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の職位が変わったことにより,研究環境面で円滑な研究の遂行が困難であったため,補助事業期間の延長を申請し,すでに承認済みである。平成30年度に行った研究は,共同研究先による負担であったため,大きな費用負担がなかったことから残余が生じた。今年度は,本実験の実施に関わる謝礼・分析費用の支出,国際学会での発表による支出,校閲費の支出を予定している。
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Research Products
(3 results)