2017 Fiscal Year Research-status Report
方位選択を伴う錯視現象の色選択性~心理物理学的逆相関法による解析~
Project/Area Number |
17K13970
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Research Institution | Ichinoseki National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 智治 (佐藤智治) 一関工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (30783120)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 色覚 / 心理物理学 / 視覚情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は方位選択を伴う錯視現象であるCollinear facilitation(以下、CF)の色選択性について実験を行った。CFは検出刺激である縞模様の上下に同じ方位の縞模様が配置されたとき、検出刺激への感度が改善する現象である。この補助刺激と検出刺激を様々な色相条件について測定し、CFの色選択性を調査した。
呈示刺激は正弦波状にコントラストが変化する縦縞模様をガウス分布で丸く切り取ったガボール刺激であった。刺激の色度は色空間上の反対色の組み合わせで変化し、色空間の主軸である赤-緑、青-黄の2方向とその中間の2方向の合計4条件であった。実験協力者に検出刺激と補助刺激の色相の組み合わせで呈示し、時間的二肢強制選択で弁別課題を実施した。この実験中、検出刺激のコントラストは階段法に従い変化した。得られた実験協力者の応答から正答率75%となる検出刺激のコントラストを推定した。実験には実験者を含めて5名が参加した。 結果として、いくつかの検出刺激と補助刺激の組み合わせで検出刺激を単独で呈示した場合よりも減少し、感度改善が見られた。特に、先行研究で報告されていた主軸以外の中間軸でも感度改善が見られた。この結果はCFが生じる脳の処理段階において、主軸以外の色への選択性がある可能性を示す。しかしながら、感度改善の特性は大きな個人差があり、選択的な感度悪化も見られた。これは周辺刺激が感度を悪化させる視覚現象: Crowdingやマスキングの影響だと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験環境を整備し、CFを測定する弁別実験の準備ができた。また、先行研究で報告されていた色方向以外でもCFの色選択性が見られる結果が得られた。しかし、その結果は大きな個人差がありCF以外の視覚現象の影響も考えられた。従って、実験参加者間で共通の傾向が見られるような実験パラメータを模索する必要がある。以上より、CFの色選択性を明らかにするためには実験条件を調整する必要があるため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
CFの色選択性について、実験結果の個人差が小さくなるような実験条件を決める。具体的には周辺刺激のコントラストや、検出刺激との距離など実験条件を調整し、実験協力者の弁別感度推定の精度が良い条件を模索する。実験刺激の最適条件は先行研究を参考に決定し実験を実施したため、心理物理実験の実験パラメータについても検討する。実験条件を決定後、実験協力者数を増やし発表可能な成果が得られしだい対外発表を行う。
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Causes of Carryover |
平成29年度に得られた実験結果は個人差が大きく、結果の検討が必要だったため対外発表を行なっていない。平成30年度は個人間で共通の傾向が得られるような実験条件を設定し実験参加者を増やしていく。 次年度使用額は主に国内会議・国際会議の旅費として使用する計画である。
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