2019 Fiscal Year Annual Research Report
Teachers' Positionality and Political Neutrality in Political Education:From Arendt to Ranciere
| Project/Area Number |
17K13976
|
|---|
| Research Institution | Rikkyo University |
|---|
Principal Investigator |
田中 智輝 立教大学, 経営学部, 助教 (60780046)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
| Keywords | シティズンシップ教育 / ラディカルデモクラシー / 教育政治学 / ハンナ・アレント / ジャック・ランシエール |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては、教育と政治をめぐる今日的状況の有する問題と可能性を考察する際に、 ハンナ・アレントの近代教育批判がどのような 視座をもたらすのかを明らかにすることを主な課題とした。 検討を通じて、第一に、彼女の主著である『人間の条件』における近代批判と 『過去と未来の間』に所収の論文「教育の危機 」で展開される教育論との関連を明らかにすることができた。加えて、第二に、アレントの教育論について、その基底をなす彼女独自の時間論を明らかにした。
平成30年度においては、前年度より着手したH.アレントの世界疎外論に関する研究成果をふまえ、彼女の思想形成過程においてなぜ、いかに教育が問題化されるに至ったのかを明らかにした。 さらに、これと並行して、本年度においては研究会等を通じて、ラディカル・デモクラシーを牽引する諸論者(ジュディス・バトラーやシャンタル・ムフなど) を研究対象とする研究者との議論を通じて、J.ランシエールの政治論、教育論の独自性を明らかにすることを試みた。
以上の研究の成果をふまえて最終年度においては、主にシティズンシップ教育や道徳教育における政治的主体の育成に向けたインプリケーションを明らかにすることに重点を置くこととした。シティズンシップ教育に関しては、新科目「公共」の施行に向けた高等学校における政治教育の実践に着目し、地域社会との連携を通じて学習者の政治的リテラシーを育成する際に、どのような連携のあり方が可能であるのかを検討した。その成果の一端は市民を対象とした学習会において報告している。また、道徳教育については、既存の道徳的規範の問い直しを通じて民主的な社会を支える道徳的価値を探究する教育実践の可能性について考察を行った。こうした研究の成果については学会にて報告を行うとともに、学会誌において公開の予定である。
|
