2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13984
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
佐川 早季子 奈良教育大学, 学校教育講座, 准教授 (90772327)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 造形表現 / 製作 / 素材 / 環境構成 / 協同 / 幼児期 / 「見せる」行為 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,協同的な造形表現を支える素材環境についてのアクションリサーチを行う準備として,幼稚園での造形表現場面の観察調査および保育者へのインタビュー調査を行った。幼稚園の観察調査では,製作場面において 4 歳児がモノを他者に「見せる」行為が,「見せる」側の幼児にとってどのような機能をもつ行為なのかを明らかにするために,論文執筆を行った。幼稚園 4 歳児 2 クラスを対象に 1 年間の継続的観察を行い,「見せる」行為の相手と機能に着目して分析した。その結果,製作に固有の「見せる」行為の機能には,幼児が「製作結果の報告」を行う機能と「製作過程での交渉」を行う機能の 2 つがあり,「見せる」相手が保育者か他児かにより異なる傾向があることが明らかになった。次に,幼児がモノを「見せる」相手は,学年開始期は保育者,学年最終期では他児が多いことが明らかになった。さらに,幼児間での「見せる」行為の機能は,時期による相違が見られ,学年開始期には,「製作結果の報告」が多いが,学年最終期では「製作過程での交渉」の機能をもつ「見せる」行為が多くなっていた。幼児同士で一緒に過ごす時間の経過や一緒に遊んだ経験が蓄積されるにしたがって,他児は協同で製作する相手・パートナーの役割を担うようになり,「見せる」行為が質的に変化することが示唆された。 保育者へのインタビュー調査では,幼児の造形表現を支えるために保育者がどのように素材を選び,環境を構成・再構成しているかを明らかにするために,経験年数2年の保育者に学期末にインタビューを行った。これらの調査結果に基づき,平成30年度に実施する観察調査の対象について検討し,観察調査とインタビュー調査を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
保育観察を継続的に実施し,保育者の素材や環境構成についての意識に関してもインタビュー調査を実施することができた。しかし,保育者のインタビュー調査については,綿密なデータ分析・考察ができなかったことから,次年度に実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,まず,前年度に行った保育者へのインタビュー調査の結果を学会発表する。
同時に,平成30年5月から3月まで,上記の保育者が担任している4歳児クラスを継続的に観察する予定である。観察調査を通して,協同性の萌芽期である4歳から5歳にかけての発達に即して,協同的な創造・表現を支える素材環境のあり方を検討する。分析の視点としては,物を中心とした言語的・視覚的・身体的なかかわりに着目し,それらのかかわりと素材環境(素材の特性・種類・数・置き方)との関係を見ていく。このような視点に基づき,分析・考察をし,成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
平成29年度は国際学会発表を予定していたが,観察データの成果発表はできなかったため,成果発表に要する費用に差額が生じた。 平成30年度は国際学会参加を予定しているため,成果発表等に要する費用とする。また,観察調査およびインタビュー調査の記録補助として,データ入力を業者に依頼するための費用として使用する。
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