2020 Fiscal Year Research-status Report
単元学習・プロジェクト型学習・新教科開発に見る教師の「カリキュラム意識」の研究
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17K13992
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
畠山 大 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10616303)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カリキュラム意識 / 教える / 子どもを知る / 分析的教育哲学 / ケアリング論 / 活動理論 / 拡張的変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、2019年度に実施予定であった国内外の追加調査を実施する計画であった。具体的には、アメリカでの学校訪問調査・インタビュー調査、研究協力を依頼している国内関東地域の学校訪問調査・インタビュー調査である。これらの追加調査を基にして研究期間でのこれまでの諸活動を総括し、成果を取りまとめることとしていた。しかし、折からの新型コロナ・ウイルス感染症の影響で、以上の当初予定の調査が実施できず、学校調査を基にした成果の取りまとめや補充の分析等が実施できずに終わってしまった。結果、その代替的な研究として理論的な分析を進めることへと方針を変更し、1年間かけて当該研究課題に関する理論研究を実施してきた。具体的には、当該研究課題における鍵概念である「カリキュラム意識」概念の明晰化に向けて、当の意識を働かせることによって生み出される教師の創造的な「教える」という営みを、活動理論の視点に基づいて分析したり、また、そうした「教える」という行為を支える働きを持つ「子どもを知る」という営みについて、分析的教育哲学の成果やケアリング論の成果、活動理論の成果を参照しながら研究を行ったりした。これらの研究は、当該研究課題における教師の拡張的な変容の過程を解明することにおいて、基礎的な理論的概念となるものである。 とはいえ、当該研究課題である「カリキュラム意識」の解明は、当然のことであるが、実際の学校現場における教師たちの認識や活動を調査し分析しなければ十分な成果が見込めない課題である。そこで研究期間を1年間延長し、2021年度も引き続き当該研究課題を進めることとして、当初計画において示した研究目的が十分に達成できるように研究計画を改めることとした。新型コロナ・ウイルス感染症の影響がまだまだ心配されるが、可能な範囲での国内外の追加調査を実施し、実践的な研究を進展させる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度実施予定としていた国内外の追加調査が、新型コロナ・ウイルス感染症の影響で実施できなかったため、当初計画に照らして研究の遅れが生じている。具体的には、アメリカでの学校訪問追加調査・インタビュー追加調査と、国内関東地域での学校訪問追加調査・インタビュー追加調査を予定していたが、それらが十分に実施できず、当初見込んでいた研究計画が十分に実現できていない。本来であれば、これまでに実施してきた理論的な分析および国内外での調査に加えて、これらの追加調査を実施することで研究成果を取りまとめることとしていたが、最後の段階で新型コロナ・ウイルス感染症の影響で足踏みをしている状態になっている。 とはいえ、もう一つの研究上の柱であった理論的な分析については、これまでに行ってきたものをさらに精緻化し、今年度一定の成果を得られるところまで十分に進めることができているため、次年度はそれらの研究を基に、今年度実施できなかった追加調査に十分な時間をかける予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、大きく以下の2つの研究活動を予定している。 第一に、2020年度に実施できなかった国内外の追加調査を実施することである。この追加調査の内、国内での調査活動については、当面オンラインでのインタビュー調査のみに焦点を絞って実施することとしている。協力を得ている各自治体の学校とは、2020年度に一年間かけてそのための準備を進めてきたところであり、この点については次年度に十分な成果が見込める可能性が高いものと判断している。また、国内での実践の調査(学校訪問調査)については、現時点では実施の見込みが十分に立っていないが、今後の感染状況の推移やワクチンの浸透を踏まえて、適宜柔軟な計画を立て、研究を推進していく予定である。もし次年度も十分な訪問調査が行えない場合には、代替の調査・分析方法を検討するなど、直接的な訪問調査という当初計画からの大幅な変更を想定している。国外での調査活動については、勤務する大学の方針にも従って、安全な研究活動が展開できるように慎重な対応を検討したい。場合によっては、これまでに調査を行ったデータを基に成果を取りまとめることにするなど、こちらも当初計画からは大幅な変更にはなるが、対処を検討したい。いずれにせよ、次年度にはこれまでの研究活動が何らかの形で総括できるように進めていく。 第二に、ここまでの研究期間内で実施してきた研究成果の総括を行うことである。学会誌論文の作成・投稿に加えて、学会・研究会での口頭発表、成果論集の公刊等、成果の公表に力点を置いた総括の作業を進める予定である。むろん、第一に示した追加調査の成果如何ではこの総括が当初計画で見込んでいたものよりも十分ではない状態になる可能性があり得る。その場合は、理論的な分析をさらに進めることとして、感染症の影響を強く受けない方法で、成果の取りまとめのあり方を代替する方向で検討する。
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Causes of Carryover |
2020年度に実施予定であった国内外の学校訪問追加調査・インタビュー追加調査が新型コロナ・ウイルス感染症の影響で実施できなかったため、当初使用する予定であった旅費分の金額が次年度使用額として残る形となった。 この次年度使用額は、2021年度において、国内外の学校訪問追加調査・インタビュー追加調査で使用する予定としているが、当該年度も新型コロナ・ウイルス感染症の影響で調査が実施できず、使用できない場合は、研究成果の公刊にかかる費用(印刷・製本費や翻訳料等)として使用する予定である。
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