2017 Fiscal Year Research-status Report
質的・量的にみる保育士の長期勤務におけるポジティブな要因に関する研究
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17K13995
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
伊勢 慎 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (30554076)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 長期勤務 / 公立保育者 / 私立保育者 / 保育士 / 幼稚園教諭 / 質的研究 / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度における研究実績の概要は、次の通りである。 1.保育者の勤務継続要因(聞き取り調査の分析) 15年以上務めた保育者を対象としたインタビューデータを質的に分析を行い、以下の考察を得た。私立保育士を対象とした結果と考察より、(1)「自園有能感」(他の園を経験することで新たな発見)、(2)「自己役割認識」(自分だけの強みを活かした保育ができる)、(3)「価値共有」「園長指導力」(園の文化、価値観を共有し、且つ伝え上手な管理職の存在)、(4)「保育士化感」(初任者が徐々に保育士としてプロ意識が芽生えるとともに、その喜びを実感する)が明らかになった。私立幼稚園教諭を対象とした結果と考察より、(5)「モデル発見」「一人で何でもやってやる感」(お手本となる先輩との出会いが、プロとしての意識を醸成する)、(6)「苦労共有者」「デトックス効果」(対人援助職であり、同期や子どもとのやり取りが、継続要因となる)、(7)「誰にでも弱さ公開力」「納得型助言者」(自ら愚痴や弱音を吐くことができることと、それに対して納得できる回答や振る舞いをしてくれる存在の必要性)が明らかになった。ただし、計画では、20年以上の保育者を対象としていたが、20年以上の勤務者が予定より協力が得られず、15年以上の勤務者と修正して実施している。 2.質問紙作成 上記1の結果を踏まえ、質問紙調査用の質問紙、質問項目を作成している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
質問紙を作成する際、先行研究を再度精査している段階で、離職理由として「人間関係」の問題が上位に来る中で、公立保育士の方が、私立保育士より高い値を示すデータがあり、公立と私立の保育者を分けて勤務継続要因を分析する必要があることが分かった。 そのため、計画では、明確に公立と私立の勤務継続要因を区分していなかったため、改めて公立保育者を対象とした聞き取り調査の調査人数の確保と実施の必要が出てきた。次年度の前半に、早急に公立保育士を対象として調査を行い、その結果と考察を反映させた質問項目の作成を進めたい。 さらに、量的な質問紙調査の分析を行った後、平均勤続年数が高い保育施設を対象とした聞き取り調査を実施することで、園単位の勤務継続要因を明らかにすることが必要になると考えており、研究計画の変更を考えている。 以上より、進捗状況は、研究計画の再考により、やや遅れているとともに、次年度で完結できるか難しくなっていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(2019年度)前半は、公立の保育所、幼稚園、認定こども園を対象に加えて聞き取り調査を行い、分析の結果と考察を質問紙の質問項目に加え、新たに作成し直し、質問紙調査を実施する。 平成31年度(2019年度)後半は、質問紙調査の結果を分析するとともに、平均勤続年数の高い保育所、幼稚園、認定こども園を抽出し、園単位で聞き取り調査を行い、インタビューデータを分析する。
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Causes of Carryover |
聞き取り調査の対象を公立の保育所、幼稚園、認定こども園を追加して実施する必要が出たため、その実施に係る費用として充てる。また、入力作業の人件費としても充てる。さらに、予定していた学会発表以外にも、公立保育者を対象とした成果を国内外の学会で発表するために充てる。
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Research Products
(3 results)