2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13997
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
福嶋 尚子 千葉工業大学, 工学部, 助教 (30756284)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 学校財務評価 / 地方財政制度 / 学校の財務自治 / 学校事務職員 |
Outline of Annual Research Achievements |
自律的な学校マネジメントに資する学校財務を対象とする評価のモデルについて、まず学校財務と学校自治をめぐる先行研究を踏まえ、あるべき学校財務実践についてどのように捉えられてきたのかを明らかにした。そこにおいては、学校をめぐる財政の主体としての学校が位置付けられ、学校経営の一環としての学校財務があり、教育要求を反映しながら公―私費を総合的に律するよう「学校財政の自治」ともいうべき理念が唱えられていた。 次に、学校財務に対する評価制度や実践についてまとめ、現時点で想定しうる学校財務評価実践の理論化を行った。予算・財務計画(Plan)―教材購入・活動実施に関わる予算執行(Do)―決算・財務実践総括(Check)に関わる各段階に対し評価を行うことで、より財務実践全体を自律的なものに改善していくことができる。 また、学校財務評価実践とその地域における制度について質問紙調査を予備的に行い、学校財務評価実践の具現化状況を明らかにし、またより優れた学校財務評価実践が行われやすい制度的条件を仮説的に示した。予算や決算に対する評価はほとんど行われていないが、教材や活動に関する費用面の検証は比較的広がりつつある状況である。また、こうした財務評価実践は、校長に支出負担行為の権限がおりているところほど活発であることが明らかとなった。 以上により、学校財務を対象とする評価モデルを示し、その実践状況や促進要件について仮説を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、自律的な学校マネジメントに資する学校財務を対象とする評価のモデル構築に向け、(a)学校財務・学校自治をめぐる学説史について論文にまとめた。 また、(c)学校財務実践について調査および先行研究を踏まえてモデル案を論文にまとめて提示すると共に、学校財務評価実践の展開状況について学校事務職員を対象に質問紙調査を実施した。 (b)学校財務評価実践を支える制度についても同じ質問紙調査にて問い、実践の展開状況とそれを支える制度について仮説を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降は1年目に提示したモデル案の有効性を実証し、またこうしたモデルの実現状況を把握し、さらに、モデルの実現を促進する要件を明らかにしながらその実現を促進させていく研究活動を行っていく予定である。 具体的には、優れた学校財務評価実践を行っている学校へ実地調査に赴き、それが自律的な学校マネジメントにどのように資したかを明らかにしていく。また、1年目の予備的な質問紙調査を踏まえ、より多くの学校事務職員への質問紙調査を実施し、上記モデルの実現状況と、そのモデルが実現する制度的要件について実証していく。 その際に、近年一部自治体で導入が検討されている、教材費の公会計化についても、それが自律的な学校財務実践や公費保障を促進するものになるのかを検討する。そのような制度がどのような経緯で導入されたのかについても自治体職員に対して聴き取り調査を行う機会を設けたいとも考えている。
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