2017 Fiscal Year Research-status Report
若手教員の職業に対する適応と職場に対する適応との関係についての研究
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17K13998
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
町支 大祐 東京大学, 大学総合教育研究センター, 特任研究員 (40755279)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 適応 / 異動 / 職業的社会化 / 組織社会化 / ポストエントリーショック |
Outline of Annual Research Achievements |
職業人の適応を分析対象としてきた社会化研究を整理すると、大きく分けて、職業的社会化(職業に対する適応)と組織社会化(組織に対する適応)との2つがある。本研究は、教員の社会化研究においてほとんど扱われてこなかった組織社会化の様相を分析することを通じて、職業に対する適応と組織に対する適応との異同を明らかにすることを目的としている。 平成29年度には、文献レビューおよび調査の実施と一部分析を行った。その詳細は以下の通りである。 まず、教員以外の職の研究についてレビューを行った。特に看護師やホワイトカラーのキャリアトランジションやポストエントリーショックに関する研究に着目し、その知見を整理した。教員に関する研究では異動前後の立地の変化や規模の変化、また、児童生徒・教師の特徴の違いなどが新しい組織への適応のあり方に関係すると述べられてきたが、他職の研究を踏まえると、組織における立ち位置の変化などの点も社会化のあり方に関係すると見ることができる。そのような観点から質的な調査も行った結果、「一人前扱いされる」「値踏みをされる」など同僚からの視点に起因する困難が円滑な適応を阻む可能性があると言う点が示唆された。 これらと並行して、量的な調査も実施した。九州のある自治体の協力を得て量的な調査を行った。その分析をすでに始めており、特に、今年度は組織社会化(組織に対する適応)の結果変数に関する分析を行った。これまでの研究で分析されてきた「職務満足度の向上」だけでなく「バーンアウトの抑制」にもつながることが示唆された。 以上が2017 年度までの本研究の実績の概要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、文献レビューと調査の実施、および、一部の分析を行うことができた。また、結果発表として、3件の学会発表を行うことができた。平成30年度は、これらの知見をふまえつつ、さらなる分析を行っていく予定であり、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、今年度は、組織への適応の結果変数を中心に分析を行った。 今後は、その促進要因や抑制要因について調査するとともに、促進施策等についても分析を行っていく予定である。並行して、今年度も質的な調査・分析を行い、トライアンギュレーションを行う。 それらの結果を統合し、異動後の適応に関する組織社会化モデルを提唱する。 そのモデルをもとに、組織への適応に特化した部分と、職業への適応と重複する部分との関係について検討していく予定である。
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