2017 Fiscal Year Research-status Report
イングランドにおける公立学校の民営化の動態と日本への示唆
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17K14001
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
仲田 康一 大東文化大学, 文学部, 講師 (40634960)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教育政策 / 学校の民営化 / アカデミー / イングランド / 英国 / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、初年度であるため、研究対象となる政策(学校運営の民営化)について、政策文書や文献の収集と分析を行い通じた制度の概要の整理を行った。House of CommonsのEducation Committeeが作成した報告書が、政策の現状と課題について重要なまとめであることを確認し、精読している。 併せて、2017年11月に渡英し、参与観察と関係者からの聞き取り調査を行った。参与観察は、The Academies Showというトレード・ショーの訪問である。学校運営の民営化によって生まれたサービス・ITシステム・教材や研修パッケージについて行われる見本市であり、学校運営並びに教育全般の民営化状況の規模と深度について、リアリティを持って知ることが出来た。 同じ調査旅行で行った聞き取り調査は、具体的には、アカデミー化が進みつつある学校の保護者と、教員組合の担当者を対象とするものである。それぞれの立場からの見解を伺うとともに、英国における研究の動向、参照すべき研究、興味深い事例についても助言を得た。 もう一つの研究実績として、研究対象の政策について英国で出版された最新の研究成果の訳出を行っている。著者とコンタクトを取り、意見交換したり、不明点について質問を行った。著者が2018年度に来日する可能性もあり、日本と英国の教育政策研究について、さらなるコラボレーションを発展させられるよう準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、研究対象とする政策についての基本的な情報収集と、論者、資料、研究のマッピングを行うことを予定していたが、信頼の置ける資料に行き当たった。 また、可能であれば渡英し、現地の情報収集に努めることを考えていたが、現地の教育関係者とコンタクトが取れ、複数のインタビューができた。更に、イングランドで出版されている有益な書物を発見し、その著者とコンタクトすることができたことも大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
冒頭項目で記したように、本研究の対象となる政策について英国で研究している研究者と研究交流が始まったのことから、当初の計画にはなかったが、同氏と綿密な情報交換を行い、学校運営やその改革状況について研究会を催すなどし、研究成果の彫琢と公表に努める。 併せて、学校改革について、引き続き文献や資料の検討・整理・訳出を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、第1に、図書について、学内で交付される一般研究費を使用できたこともあり、支出を抑制できたことがある。 第2に、当初イングランドで面会する予定だった対象者が、先方の都合により面会できなかったことで(別途ビデオカンファレンスにて対応)、滞在期間を短くしたことに加え、比較的安価なホテルや航空券だったことでも支出抑制につながった。 初年度の残額を含めた助成金の使途であるが、当初の申請通り、資料収集・渡英・その他資料収集・整理・分析のための費用とする。これに加え、初年度に研究交流を行った前述のイングランドの研究者が来日する可能性があり、同氏は本申請研究が対象としている政策についての研究知見を蓄積していることから、研究会等を催し、最新知見の把握や、それが日本の教育政策に対して有しうるレリバンスについて議論を行うことを考えている。先方の都合次第ではあるが、このために必要な諸費用としても活用する予定である。
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