2017 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブ授業におけるカリキュラム・デザイン方法の開発的研究
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17K14003
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Research Institution | Gifu Keizai University |
Principal Investigator |
田中 紀子 岐阜経済大学, 経営学部, 講師 (90735276)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インクルーシブ / カリキュラム / 授業づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで「生活指導」や「他者理解」といった「訓育的側面」の文脈から扱われることが多かった障害児と定型発達児の共同学習について、障害児と定型発達児の共同学習について陶冶論からアプローチし、障害児と定型発達児の共同学習に必要なカリキュラム・デザインの要件を明らかにすることを目的としている。 平成29(2017)年度は、知的障害児と定型発達児の共同授業が知的発達を促進する可能性と意義について、以下の二点を中心として研究を進めた。 (1)知的障害児の学習権保障として取り組まれてきた教科教育の実践について、1960年代以降から出版されてきた日本の教育実践記録を分析し、今日的意義を検討した。日本の知的障害児教育における教科教育は、「原教科」論のように教科学習につながる概念習得も含むかたちで実践されてきた。今後は、知的障害児の教科教育における「原教科」論およびその他の知的障害児教育の教科教育実践について、当時の批判的見解も含めて、より精緻に分析、検討する。 (2)障害児と定型発達児の共同学習のためのカリキュラム構成に関する海外の動向として、ドイツにおける教授学議論を参照し、インクルーシブなカリキュラム構成の課題を明らかにした。スタンダードとして策定された州カリキュラムの枠組みには、「異質性に対する開放性」と、他方では「統一的に決められた規定」という矛盾が含まれており、このジレンマに対して教師の教育計画に余白をとることの重要性が確認されている。今後は、初等教育段階や中等教育段階におけるインクルーシブ授業のためのカリキュラム編成の要件について分析、検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
戦後日本の知的障害児教育における教科教育実践に関する資料の収集、ならびにドイツのインクルーシブ授業におけるカリキュラム編成に関する資料の収集を中心に行い、今後の研究の準備を行うことができた。次年度(平成30(2018)年度)の重点課題であるドイツのインクルーシブ授業におけるカリキュラム編成に関する研究動向についても分析作業に取りかかることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30(2018)年度は、(1)知的障害児教育の教科教育実践について、当時の批判的見解も含めて、より詳細に分析、検討する。また、(2)海外の教育実践の動向についてドイツの初等教育段階や中等教育段階におけるインクルーシブ授業のためのカリキュラム編成の要件について調査、分析する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、当初の予定より出張回数が少なかったため、次年度以降に繰り越すこととした。次年度以降に、資料収集および調査研究のための旅費、文献収集のための物品費等として使用する予定である。
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