2017 Fiscal Year Research-status Report
アメリカにおける市民性教育の格差是正に向けた制度的・政策的支援の研究
Project/Area Number |
17K14010
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Research Institution | Osaka International College |
Principal Investigator |
古田 雄一 大阪国際大学短期大学部, その他部局等, 講師 (20791958)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 市民性教育 / アメリカ / 教育政策 / 教育制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間(3ヶ年)の初年度にあたる本年度は、主に日米の文献を広範に渉猟し、市民性教育の格差是正に取り組むアメリカの政策的・制度的支援の事例に関する情報収集に注力した。その結果、州によって大きく異なるアメリカの市民性教育の実施状況について俯瞰的に把握することができた。その上で、特に意欲的な取り組みを行う州を絞り込むことができ、次年度(平成30年度)の訪米調査の事例選定に有益な示唆を得ることができた。これらの情報に基づき、平成30年度4月~5月にかけて訪米調査を行う。訪問先の事例では、州レベルの政策、学区レベルでの政策、さらには教育行政担当者・教員・議員・非営利組織・財団等の多様な主体による協働的な取り組み等を組み合わせながら、市民性教育の格差是正に取り組むべく、模索が始まっている。本年度は、訪問予定先の関係者との関係構築や情報交換にも取り組み、次年度の訪米調査を円滑に行うための準備を整えることができた。 加えて、実践記録等を用いて、格差の低位に置かれた地域の学校における具体的な実践事例の分析にも取り組み、こうした実践を支える原理について知見を得ることができた。それは、子どもの学校内外での日常的経験と関係づけながらも、その視野を刷新しうる市民としての真正な学習経験を作り出すという点に特徴づけられるものであった。こうした市民性教育実践を広範かつ持続的に実施していくための政策的・制度的支援のありようを考察していくことが、次年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は平成29年度中に訪米調査を1回行う計画であったが、調査準備を進める過程で事例の慎重な選定が重要と判断し、本年度は事例に関する情報収集に注力した。 このように当初の計画から変更となったものの、平成29年度末の時点で、すでに次年度(平成30年度)に訪問する州・都市を選定済みであり、訪米調査のアポイントメントおよび関連情報の収集を完了しており、訪米調査を行う準備を十分整えることができている。訪米調査は平成30年4月末から5月初旬にかけて実施するほか、同年夏頃にも再度実施する方向で検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、4月末から5月初旬にかけて訪米調査を実施し、現地の教育委員会担当者へのインタビュー調査・資料収集、学校への訪問・インタビュー調査・資料収集を行い、これらの州/学区の取り組みについて多角的な理解を得る予定である。また、さらにデータを集めるため、同年夏頃にも再度訪米調査を実施する方向で検討を進めている。得られた知見は、同年秋頃の学会大会で発表し、その後論文化を予定している。
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Causes of Carryover |
研究計画の変更に伴い、初年度に1回予定していた訪米調査を行わず、代わりに文献調査等を通じた研究に注力したため、若干の残余が生じた。 次年度は訪米調査を2回実施する方向で準備を進めており、当該残余分もそれらの調査で使用することとする。
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