2018 Fiscal Year Research-status Report
保育士の早期離職を生む構造の分析と早期離職を防ぐリカレント教育の実証的研究
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17K14011
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Research Institution | Osaka Aoyama University |
Principal Investigator |
黒澤 祐介 大阪青山大学, 健康科学部, 准教授(移行) (40633631)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 保育士 / 同僚性 / 早期離職 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は早期離職を生む原因の分析として、29年度に実施したアンケートの質的分析を深め、保育現場へのヒアリングや視察を中心に研究を行った。 調査研究からは、特に新人保育士においては、職場内での信頼できる人間関係をつくっていくことに難しさを抱えることが少なくなく、その結果早期の離職に至ることが明らかになった。早期離職を防ぐためには、職場の人間関係の向上や、困ったと きに相談できる相手をつくっていくため、園内研修等による職場の同僚性の向上や相談のシステム構築が必要であことを明らかにした。 また、保育職場の人間関係や同僚性に関する先行研究の整理を行い、保育士への調査の質的分析結果と加えて、保育士の同僚性の理論検討を行った。結果、先行研究が提示している教師の3つの同僚性の機能、「教育活動を支える機能」、「力量形成を支える機能」、「癒しの機能」に加えて、保育士独自の新たな同僚性の機能を検討する必要性が明らかになった。これは、教師と保育士では年齢構成や性別の構成が大きく異なることに起因している。同性かつ若年者、初任者段階の者が多くを占める保育現場では、専門職集団としての発達段階の違いや、プライバタイゼーションなどの私的生活との関係性などを吟味する必要があり、それらを踏まえた保育士独自の同僚性の機能が必要である。 これらの研究結果と平成29年度におこなったアンケート調査による結果から、早期離職を防ぐためには、保育士の私的生活を支える政策的枠組として、私生活と仕事との両立のため休暇保障が必要であることを明らかにし、具体的な提言として配置基準の見直しや、フリー保育士の配置、副主任のマネジメントの強化などの提言を、雑誌論文やパンフレットによって研究成果の一部発信も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
早期離職の構造の理論解明は進んだが、質問紙の完成が遅れたことにより、リカレント教育の効果評価ついては実施の調整が遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査研究で明らかになった早期離職の構造の理論モデルを元に、31年度以降はリカレント教育を実施し、その効果評価を行っていく。
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Causes of Carryover |
リカレント教育の効果評価の実施が遅れているため。31年度以降に実施し、使用する。
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