2021 Fiscal Year Research-status Report
保育士の早期離職を生む構造の分析と早期離職を防ぐリカレント教育の実証的研究
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17K14011
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Research Institution | Osaka Aoyama University |
Principal Investigator |
黒澤 祐介 大阪青山大学, 健康科学部, 准教授(移行) (40633631)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 保育士 / 離職 / ワークライフバランス |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、保育士の離職の要因の分析を中心に行った。特に、これまでのヒアリング調査などにより、保育士の離職要因としてワークライフバランスが課題となっていることが明らかになっており、保育士が離職することなく「働き続けられる保育職場」の条件を探るために、質問紙調査およびヒアリング調査を実施した。 調査研究結果からは、保育士の多くがワークライフバランスに不安を抱えていること、そして、その解決策を親族等のサポートに求めざるを得ない現状が明らかとなった。 たとえば、「現在働いている地域は、家族・親族等のサポートが受けられる地域ですか」とたずねたところ、「はい(60.8%)」「いいえ(39.2%)」であった。約6割の保育士が親族等のサポートが受けられる地域、つまり、「地元」で働いているという現状が明らかになった。さらに、「現在、親族等のサポートが受けられる地域で働いていない」と答えた27名に対し、「将来、親族等のサポートが受けられる地域で働きたいか」をたずねたところ、59.3%が「はい」、40.7%が「いいえ」と回答した。「現在、親族等のサポートを受けられる地域で働く者」と、「将来、親族等のサポートを受けられる地域で働きたい者」を合わせると、全体の84%程度になる。 保育士の労働は、親族等のサポートと切り離せない現状にあると言わざるをえない状況にあり、特に若い世代ほど、「将来、親族等のサポートを受けられる地域で働きたい」と答えており、保育士の早期離職への一因となっていることも考えられる。 また、若い保育士が、結婚や育児を中心としたライフステージの変化に伴い、「離職すること」や「職業を再選択すること」にもつながっており、保育所内の努力に依拠するような「魅力ある保育職場づくり」だけでは早期離職の防止には不十分である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で、リカレントの実施が予定通りに進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の調査結果を踏まえ、より大規模かつ精緻化した質問紙調査を実施し、加えてリカレント研究実施していくことで、保育士の早期離職を防ぎ、ワークライフバランスを支える課題と条件をより明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、質問紙調査、リカレント調査ともに計画に遅れが生じたため。
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