2021 Fiscal Year Research-status Report
スウェーデンの大学における内部質保証の研究ー「フィードバックと改善」機能の解明
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17K14018
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
武 寛子 神戸大学, 国際協力研究科, 特命助教 (60578756)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スウェーデン / 高等教育 / 授業評価 / フィードバック / 内部質保証 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、スウェーデンの大学を対象にして、授業評価の結果を学生に「フィードバック」し、教育の「改善」につなげる機能の実態を分析し、日本の大学における授業評価の活用方法に関する示唆を得ることである。スウェーデンでは、高等教育法において、授業評価の実施が義務化されている。同国における授業評価に関する先行研究を分析し、どのような議論を受けて制度化されたのか、その背景について精査した。特に、学生による授業評価が義務化された 1960 年代に遡って考察した。 令和3年度にスウェーデンにおける現地調査を実地する予定であったが、新型コロナウィルスの影響で渡航することができなかった。そのため、令和3年度も一次資料に基づいた文献調査を主に実施した。学生の視点を考察するために、学生による「学生意見書」に関する文献や資料を収集し、学生からのフィードバックによる教育改善について考察を進めた。 特に、学生による「学生評価書」をもとに、ウプサラ大学、ルンド大学、ボロース大学における授業評価への意見についても収集し、どのような議論がなされているのかを調査した。 ウプサラ大学の学生組合による学生意見書では、講義における学生の積極的な参加は、学生個人の意欲にかかっており、教員が学生全体の積極的な関与を促す必要があると指摘している。ルンド大学の学生組合による学生意見書では、ルンド大学で実施される学習調査の結果が教育の実施やフォローアップに活用されていない点を指摘している。ボロース大学の学生組合による学生意見書では、授業評価アンケートに関する効果的な活用がなされていないこと、授業評価アンケートの設問内容が教育の質改善につながっていないことを指摘している。事例大学の学生意見書では、教育評価に対する大学のフィードバック体制の改善について指摘していることを明示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響により、現地調査を実施することができなかったためやや遅れている。しかし、先行研究や一次資料の収集することに専念し、来年度に実施する予定の現地調査に向けて調査項目の選定を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの影響によって来年度も渡航することができなければ、オンラインによるインタビュー調査の実施を具体的に検討する。実際に渡航することで調査対象者とのラポールを構築したいところであるが、コロナ禍において渡航ができない場合において他の方法で調査を実施することを計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響によってスウェーデンに渡航することができなかった。そのため、次年度に現地調査を実施するために渡航費および人件費を翌年度分として使用する計画である。
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