2017 Fiscal Year Research-status Report
新任教師がもつ生徒指導におけるジェンダー観の構築・変容過程
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17K14020
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Research Institution | Miyazaki Municipal University |
Principal Investigator |
寺町 晋哉 宮崎公立大学, 人文学部, 助教 (10775729)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生徒指導 / スクールカースト / 人間関係 / 学級経営 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新任教師(大学四年生時含む)へのインタビュー調査を行うことによって、教師のもつ生徒指導におけるジェンダー観の構築及び変容過程を明らかにすることを目的としている。そのために、先行研究の検討及び分析枠組みの構築、新任教師への継続的なインタビュー調査の実施、『月刊生徒指導』の資料収集と分析、という研究計画を設定した。 第一について、「生徒指導」及び「教育言説」に関する先行研究の整理のため、必要な文献収集に努め、現在分析枠組みを検討中である。後述する『月刊生徒指導』の分析では、テキストマイニングの技法を用いることが有効ではないかと考えている。また、著者の属性や性別も重要な変数であると考えられるため、タイトルをカテゴリー別に分類し、それらの変数との関係性について分析を行っていく。インタビュー調査については、「職業的社会化」研究、「教師の発達」研究から示唆を得た。ジェンダーの観点から分析された生徒指導研究は、心理学領域に多く見られたが、教育社会学の領域でもいくつか重要な研究が存在していることが明らかとなった。 第二について、インタビュー項目の設定を行い、教職を目指している学生に協力を依頼し、インタビュー調査を9名(女性6名・男性3名)に実施した。一人あたり60分超から120分ほどのインタビュー時間で、学校教育段階での経験や人間関係に関する考え、新任教員として働くにあたり課題に感じていることなどを聞きとっている。現在、インタビューデータの書き起こしを行っている。 第三について、『月刊生徒指導』の資料収集を行った。現在、当該雑誌で扱われているタイトル及び著者についてデータ入力を行っている。資料が膨大であるが、現在1990年代後半まで入力を終えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献の収集、インタビュー調査に関しては事前の計画通りに進行している。生徒指導に特化した教育社会学研究の蓄積はそれほど多くないが、子どもの相互作用研究や校則研究などを手がかりに先行研究の整理を行っている。 インタビュー調査者の人数が事前に計画していたものより少なくなっているが、インタビュー調査を行っている段階で、協力者の赴任先が、宮崎・熊本・大分・長崎・福岡・鹿児島・滋賀・兵庫と非常に多岐に渡った。今後継続して調査を行うにあたり、1年あたりの人数を多くすることで、日程調整や継続調査の困難が生じやすいと考え、安定的に調査を行える人数を模索するため、まずは9人で行った。また、インタビューをしているなかで、調査者が協力者の語りを誘導する恐れがあったため、明確に「社会のジェンダー観」やそれに対する個人的考えを質問することは控えた。 『月刊生徒指導』の資料が膨大なため、データ入力にやや時間を要している。データ入力当初は、ページ数や小さなコラム、読書案内等の項目も入力していたが、作業が膨大になることに加え、分析の焦点が定まらなくなる恐れもあるため、まずはタイトル・著者・著者の属性に限定してデータ入力を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究の整理、分析枠組みの設定を行っているが、それらを安易に適用せずに、インタビュー調査や『月刊生徒指導』の分析を行っていくなかで得られたデータと相互作用させながら、分析枠組みを精緻化してく。 インタビュー調査は、まず夏から秋にかけて行う。調査協力者が新任教員としてどのような経験を語るのかを、ほとんどが「初めての経験」であることに着目して、聞き取りを行っていく予定である。この調査の進捗状況次第で、新たに大学4年生へ行う聞き取り調査の人数を確定し、質問内容についても精査していく。また、新任教員のインタビュー調査は、年度末にも予定しており、調査協力者の新任教員としての経験の変化について、計2回の調査を通じて明らかにして行く。 『月刊生徒指導』の分析は、タイトル・著者の属性に焦点を当てて行う。その際、タイトルからテーマを分類し、その変遷を分析する。また、各テーマと著者の属性がどのような関係にあるのかに焦点を当て、分析を行う。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりインタビュー調査協力者の人数が減ったことで、謝礼金額が減額した。それに伴い、インタビュー・データ数も減ったため、データの文字起こしに想定していたアルバイト代が減額している。また、インタビュー調査が2、3月に集中したため、データの文字起こしのアルバイト代が当初の予定より減額している。 『月刊生徒指導』のデータ入力が膨大なため、当初の予定よりアルバイトの人数を増加する。また、インタビューデータの文字起こしが未完了のものがあるので、そのアルバイト代に使用する。
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