2017 Fiscal Year Research-status Report
産学間の資金・人材流動が大学の研究財源基盤に与える影響に関する実証分析
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17K14022
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
宮錦 三樹 立教大学, 経営学部, 助教 (70733517)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大学 / 公的研究資金 / 研究財源基盤 / 産学官連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際競争が激化する中、わが国が持続的成長を実現するにはイノベーションの創出が不可欠である。一方、財政状況は厳しく、それを支える基盤である大学の研究活動をいかに効果的に支援するかが喫緊の政策課題となっている。 本研究では、大学に対する基盤的・競争的な公的研究資金の投入や、産学間の人材移動の実態が、大学の研究財源基盤に与える影響について、計量経済学の手法を用いてマクロとミクロの両視点から定量的に分析する。大学の研究財源基盤の強化を促す効果的な産学官連携のあり方と、政府の戦略的な資源配分政策の立案に向けたひとつのエビデンスを提示することが目的である。 平成29年度は、マクロレベルのデータベース構築後、詳細な分析に先立ち記述統計量などを用いたファクトファインディングを中心に行った。また、マクロの集計データを用いて時系列分析を行い、平成30年度以降のデータ分析への示唆を得た。公的研究費および人材移動の変化と民間研究費等との因果関係をマクロレベルで検証するこの作業は、マクロでみた各財源等の成長過程に関する知見のみならず、以降の本研究期間において仮説設定する上で、データ面の裏付けとして役立てる。さらに、既存データからは把握できない大学の特性、背後にある立地地域の社会経済事情、研究活動に関連する法整備の状況などの情報収集をはじめ、大学の研究環境の現状を知るため関係者へのヒアリング調査を行い、今後のデータ分析における示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、大規模データベースの構築、記述統計等を用いたファクトファインディングおよびマクロレベルにおける分析を通じて次年度以降の詳細な分析に向けた示唆を得ることを主な目的としていた。おおむね計画どおり進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
ミクロレベルでの詳細な分析に着手する。具体的には、研究成果指標を用いて研究活動のアウトプットは制御した上で、官民含めた大学の研究財源調達の最適化問題を解く。民間からの受入研究資金(研究費の支出主体別・産学連携の形式別)や産学連携実施件数、財源の多様性の程度を示す財源集中度指標などを被説明変数の候補とし、公的研究資金(競争的・基盤的経費を区別)および産学間の人材移動を説明変数に想定した動学パネルモデルを構築する。 本分析では、前述の類型グループや学部学科構成の考慮に加え、規模や研究実施体制、技術移転機関の設置有無等の大学の特性、地域の研究活動への需要や財政力、社会経済構造等の立地地域の特性、およびそれらの観察不可能な異質性も考慮する。また、説明変数に検定に基づくラグ期数を設定することで、資金・人材面の動向が及ぼす中長期的影響を捉えることを目指す。成果は学会等で発表し、得られたフィードバックをもとに結果を吟味・改訂、精度を高める。その上で学術誌に投稿し、広く成果を公表する。
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Causes of Carryover |
物品購入費および旅費が計画より下回ったことで次年度使用額が発生。翌年度において、物品費については必要なハード整備を行い、旅費については国内外での学会報告・ヒアリングのための旅費に充当する予定である。
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