2019 Fiscal Year Research-status Report
発達障害支援をめぐる相互行為研究:教育的支援の構成的特質に着目して
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17K14023
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
鶴田 真紀 創価大学, 教育学部, 准教授 (60554269)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 発達障害 / 病い / 教育的支援 / 合理的配慮 / 学校的社会化 / 社会構成論 / フィールドワーク / インタビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
2019度は、教育的支援の構成的特質に接近するために、特に実証的研究に関しては調査を追加して実施することに専念した。というのも、当初より本年度の補足的調査は予定されていたことではあったものの、これまで研究を進める中で、「教育的支援」と「合理的配慮」等の障害に関わる当事者含め実践者にとって隣接的に扱われる概念の関係性に着目する必要が生じたためである。同時に、調査を実施していく中で、いわゆる「発達障害」以外の「障害」や「病気(病い)」にも対象を広げる必要性を感じ、これまで限定的であった領域を拡大し、補足的とはいえ広範かつ定期的な調査を実施した。 具体的には、複数の障害当事者にインタビューを実施した。これらの当事者の年齢は20代から50代に及び、それぞれ学校時代を振り返ってもらう中で、「教育的支援」や「合理的配慮」をめぐる語りを収集した。また、特別支援教育において特に病弱教育に携わる教師にインタビューを実施し、「病気」の子どもたちに対し「支援」や「配慮」の実践がどのように行われているのかを語ってもらった。さらに、これまで申請者は「学校」に焦点を当ててきたのだが障害や病気の子どもたちが関わる場として「病院」にも着目した。申請者自身が研究者・調査者としてというよりは実践者(支援者)として、いわゆる「きょうだい児」への院内での支援に定期的に関わり、「支援」という概念が病院という場においてどのように関連づけられているのかを検討した。また、その関わりを通じて支援者である保育者にインタビューを実施し、いわゆる学校の教師との比較、さらには障害や病気の子供たち支援とその「きょうだい児」支援との比較を行った。これらの調査を実施する中で関連する研究会や当事者の会にも出席し、知識の習得に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記で「おおむね順調に進展している」を選択した理由は、2019年度はこれまでの研究の進捗及び成果を振り返った結果、追加調査を実施することが本研究課題にとって有意義であると考え、調査を実施できたことにある。「障害」のみでなく「病い」という関連性はあるものの、これまでとは異なる領域へと拡張した調査であったが、最終年度に向けて今年度中にある程度の調査を実施する必要があった。調査に専念しデータの収集に努めたことにより、今年度は直接的な研究成果には結びついてはいないが、来年度に発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの流行という社会状況のため来年度に延期をせざるを得なかったインタビューを複数抱えている。まずは、感染症の影響が落ち着いた時点でこれらの調査を速やかに実施することを目指している。具体的には、病気の当事者、医療者等に対するインタビューであるが、それらとは別に、これまで定期的に実施してきた発達障害の高校生及びその保護者に対するインタビューも、従来通り実施する予定である。なお、これらの調査は、協力者からは調査の内諾を得ている。 また、これまでの収集したデータをもとに、具体的な研究成果の産出に努めたい。学会発表は、子ども社会学会もしくは日本教育社会学会を予定している。同時に、大学紀要への論文提出はもちろんのこと、学術誌にも投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた状況としては、それほど高額ではなかったため、今年度に使い切ることを目指すよりも来年度に使用した方が有益であると判断したためである。次年度の助成金と合わせて、物品費として使用する予定である。
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