2019 Fiscal Year Annual Research Report
Design of a way for increasing students' comprehension of school algebra
Project/Area Number |
17K14031
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
榎本 哲士 白鴎大学, 教育学部, 准教授 (60758811)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 変数 / 文字 / ICCAMS |
Outline of Annual Research Achievements |
数学の記号の中でも特に文字記号を理解することが学習者にとって困難であるという指摘から,文字の理解を促進する教材とその学習指導の方法を開発することは数学教育上の大きな課題である。この課題の解決を見据えて,本研究はこれまでに,以下の三点について研究活動を行った。 一つ目は,文字の理解を妨げる要因の特定である。本研究では,「数学的概念の二面性」と「学習者による文字の解釈の水準」に関する先行研究の知見を整理しながら,学校数学の教科内容を分析した。その結果,文字の意味を多様に解釈可能なことが学習者の理解を妨げる要因の一つであることが分かった。二つ目は,ICCAMS教材の分析とその特徴の把握である。本研究では,イギリスで実施されたICCAMSプロジェクトに注目した。それは,代数の理解を促進するために実施されたプロジェクトだからである。本研究は,ICCAMSで提案された教材を分析し,理解を促進するための原理を明らかにした。三つ目は,学習者の理解を促進するための教授実験を計画・実施することである。本研究ではICCAMS教材を援用し,我が国の中・高校生の実体に合わせ教材を再構成し,次の三つの視点から教授実験を計画した。それは,①学習者による文字の解釈,②文字の解釈を変えるためのソフトウェアの使用,③形成的アセスメント,である。実験の対象は,中学校第3学年と高等学校第1学年の生徒である。教授実験では,文字を静的に解釈する生徒と動的に解釈する生徒を特定することができた。文字を静的に解釈した生徒は,ソフトウェアで事象を動的に提示しても,自分の解釈に固執し,その解釈を変えようとはしなかった。このことから,学習者の文字の解釈を変容する方法について,今後更に検討する必要がある。 上記した研究成果について,2019年度に日本数学教育学会で発表するとともに,イギリスの研究者とも研究協議を行った。
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