2018 Fiscal Year Research-status Report
音楽づくりを通して表現する力の育成を目指す保育者養成の実践プログラムの開発
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17K14032
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
三橋 さゆり 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (70758440)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 教員養成 / 音楽 / 表現 / 幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、保育者を目指す学生が表現する力を獲得し、その力を保育内容の計画や環境構成、子どもの援助に発揮することを目指した音楽づくりの実践プログラムを開発するために、創造的音楽学習に関する研究、保育者と幼児の相互行為に関する研究および前年度の実践における観察の結果に基づいてプログラムの内容を計画した。そして、この効果を検討するために、計画した実践プログラムを、保育者を目指す学生が受講する授業で実施した。授業はビデオやICレコーダーで記録した。ビデオとICレコーダーを使用したのは、学生の発話や楽器を試奏する様子を記録することで、音楽づくりの過程を詳細に解明するためである。これらの記録と受講生の省察レポートを基に実践の内容を分析した。 実践プログラムの内容は、リズム遊びや歌および身近なものから音素材を探る活動や音素材を構成する活動、これらの活動で得た経験を土台として行う言葉や造形作品、絵本を題材とした音楽づくりの活動である。1回の授業は主に3部で構成されている。まず全体活動として、音遊び等、受講生が主体的に参加できる形で音楽づくりの方法を共有した。その後、前半に共有した方法をヒントにしながら、グループ活動の形で受講生同士がアイデアを出し合って音楽をつくった。最後に、グループ活動でつくった音楽を受講生全員の前で発表し、それぞれのグループがつくった音楽を鑑賞した。2018年度のプログラムでは、グループで音楽をつくる過程で自分たちの表現を省察できるように、タブレット型コンピュータを導入した。 授業の分析では、グループ内においてどのようにアイデアが創発され、それが音楽へと発展していったかという点について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はプログラムを立案し、そのプログラムに沿って実践を行うことができた。そして、その実践内容を分析した。来年度は、実践の分析結果を学会発表等で提示ができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、音楽づくりの題材に焦点を絞った調査を行う。音楽づくりの活動において、どのような特徴をもつ題材が学生の表現力や創造性の発揮に効果的かを検討し、表現する力を育成するための題材を探る。題材の中には、造形作品、言葉、絵本などが含まれている。本年度に実施するプログラムでは、これらの題材の可能性を検討し、その知見をプログラムに組み込んで、修正プログラムを実施してデータを収集する。この調査から、造形表現や言語表現と音楽表現との関連を明らかにするとともに、学生が造形表現や言語表現をどのように解釈して音楽として表現するのかを分析する。そして、実践の分析で得られた知見を学会等で発表する。
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