2019 Fiscal Year Annual Research Report
Influence of Noh Study Programs on School Children Based on Singing Voices, Neuroimaging, Questionnaires
Project/Area Number |
17K14047
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Research Institution | Kamakura Women's University |
Principal Investigator |
田村 にしき 鎌倉女子大学, 児童学部, 准教授 (50613494)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 能の学習プログラム / 音声分析 / 心理尺度評価 / fNIRS / 地域の伝統芸能 / 音楽教育学 |
Outline of Annual Research Achievements |
筆者は、地域の保存会の伝承者・能楽師・小学校教員と協働して、春藤流の謡を核とした「能の学習プログラム」を開発し、伝承地区の小学校4年生を対象に継続的に実践してきた。 その教育効果を、①児童の歌声の音声分析や、②自尊感情測定尺度と学校適応感尺度を用いたアンケート調査、③fNIRS(機能的近赤外光脳機能測定装置)を用いた、謡の聴取時と歌唱時における大脳新皮質前頭前野の酸素化ヘモグロビン濃度長変化を測定して検証を積み重ねてきた。 ①児童の歌声の音声分析では、学習を積み重ねるごとに、響きのある声に変化したことが明らかになった。②アンケート調査では、自尊感情測定尺度の中の「自己評価・自己受容得点」と「関係の中での自己得点」に有意差がみられ、学習を積み重ねるごとに児童の自尊感情に変化がみられたことが明らかになった。最終年度は、特に③fNIRSを用いた実験の分析に力を入れた。謡の聴取時は、授業1回目、2回目、3回目と回を重ねるごとに、脳血流量の中の酸素化ヘモグロビンが沈静化し、波形の振幅が小さくなっていく傾向がみられた。謡の歌唱時も、学習を積み重ねるごとに、酸素化ヘモグロビンの波形の振幅が小さくなっていき、脳血流量が減少する傾向がみられた。歌唱時については、脳血流の活動パターンの波形を歌唱の進行と重ね合わせて、さらに細かく分析を試みた。その結果、能独自の発声や呼吸をしている箇所で、脳血流量に顕著な変化がみられた。 これらの結果から、能独自の身体の使い方、発声、呼吸が児童の心理や脳血流量に影響を与える可能性がみえてきた。今後も能独自の身体の使い方、発声、息遣いが、児童の感性にどのような影響を与えるかについて研究を深め、その知見に基づいた教材開発を進めていきたい。
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Research Products
(2 results)