2020 Fiscal Year Research-status Report
Empirical research on the mathematics lesson that promotes statistical reasoning from the perspective of modelling
Project/Area Number |
17K14053
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
川上 貴 宇都宮大学, 共同教育学部, 講師 (90709552)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | データモデリング / インフォーマルな統計的推測 / モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,モデリングの特性を生かし,実世界と関連づけて統計的概念を醸造しながら統計的推論を促す,小学校算数及び中学校数学の授業枠組みを構築し,統計領域の授業改善に活用することである。第4年次では,以下の2点に取組んだ。 第1に,低学年児童のインフォーマルな統計的推測(informal statistical inference:以下,ISI)の促進において,データモデリング(data modelling:以下,DM)のプロセスを通して生成されるモデルが果たす役割について明らかにした。ISIの活動を含む一連のDMのプロセスが内在する実験授業(小学2年生対象)を,ISIの特質とモデルの思考的役割の視点から分析・考察した。その結果,DMのプロセスを通して生成・共有されたモデルが,データのばらつきや確率的なばらつきの構造について児童なりの,①導出を促す「記述手段」としての役割,②類推を導く「参照物」としての役割,③統一的・包括的な説明を可能にする「説明手段」としての役割を同時的に果たし,児童によるISIの特質の顕在化やその内容の深化を支えていることが明らかとなった。こうした成果に関しては,日本数学教育学会第53回秋期研究大会の論文発表の部で発表することができ(川上,2020),現在,国内学会誌に投稿中である。 第2に,前年度の研究成果である川上(2019)を生かして,統計的モデリングの学習指導に関するレビューを多角的に実施した。本研究項目は,スウェーデンの数学教育研究者と国際共同研究として行うことができた。本研究項目の成果に関しては,国際学会(ICME14)において口頭発表を行う予定であり,今後は,国際ジャーナルに投稿する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では想定していなかった,スウェーデンの数学教育研究者との国際共同研究を実現することができ,国際学会へ発表する共著論文を仕上げることができたためである。 また、コロナ禍であったため,小・中学校において新たに授業実践を行うことはできなかったが,オンラインを生かして,教員養成系大学生を対象にデータモデリングに関する実施することができ,本研究の知見を教師教育へ応用する見通しができたためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を踏まえ,今後は,データモデリングに焦点化し,数学教育におけるデータモデリングの体系的な指導枠組みの構築とその指導枠組みの学校教育・教師教育での有用性の実証に取組む予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により国内外の出張が無くなったため。次年度の物品費として使用する予定である。
|
Remarks |
2021年3月 数学教育学会 馬場奨励賞(優秀論文賞)受賞 https://mes-j.or.jp/activity/baba_encouragementprize/list
|
Research Products
(7 results)