2020 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the Method of evidence-based Character Education in the United States and Verifying the Possibility of Introducing of the System into Japan
Project/Area Number |
17K14054
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
宮本 浩紀 茨城大学, 教育学部, 助教 (00737918)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 道徳教育 / 効果測定 / エビデンス / 教育方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究は、研究当初から進めてきたアメリカの道徳教育政策において活用されている効果測定制度の特質と課題を総括することを目的として実施した。そもそも、本研究の最終年度には、アメリカのメリーランド州における訪問調査を通じて、同国において道徳教育分野での効果測定制度が学校現場の教育実践にいかなる効果を与えているか、あるいは逆に効果が認めがたい領域があるか否かといった点について明らかにすることを目指していたが、新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大によりその実施が困難となった。 そこで本研究は、以下の通り、研究の方向性を次の二点に切り替えることで研究の総括を行った。第一に、教育学におけるエビデンス産出の可能性と限界を踏まえた上で、道徳教育ならではの特質について文献分析により明らかにした。第二に、研究当初より探究してきたエビデンス産出の可否に再度注目し、改めて学校教育の文脈において活用することのできるエビデンス産出の方法やその特質を明らかにした。前者に関しては、「そもそも教育分野においてエビデンスを産出することなど可能なのか」という問いを掲げた上で、この問いに対する解答を、エビデンス産出“可能”“不可能”という形の二項対立ではなく、“可能”と“不可能”の間に諸段階を備える数直線として想定する枠組み構築に結びついた。さらに、エビデンス産出の可否を領域別に細分化することにより、道徳教育分野におけるエビデンス産出については可能性を見出しつつ、その軽重をつけていくという枠組みを得ることができた。後者に関しては、道徳的価値を理解する手立てが言葉の理解にあることに注目した上で、その意味理解が子どもの知識と経験に多分に左右されるものであることを再検討した。そのように道徳的価値があくまでも言葉を元に理解されることが確認されたことで、道徳教育における認知科学の役割を認識する展望が得られた。
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Research Products
(4 results)