2019 Fiscal Year Research-status Report
協同学習における遂行水準の異なる参加者間の相互作用の促進
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17K14059
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
五味 洋一 群馬大学, 大学教育・学生支援機構, 准教授 (80642131)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 共同学習 / 集団随伴性 / 相互作用 / 発達障害 / 高等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知能力の多様性を考慮した場合、必要な情報に選択的に注意を向けたり情報の要点や全体像を捉えることを苦手とする学生は、学習過程におけるコミュニケー ションが円滑にできないことや、集団の所産に対する貢献(パフォーマンス)が低いこと等を背景として、集団をベースとする学習への参加が制約されることが ある。本研究の目的は、特にパフォーマンスの低いメンバーが混在するグループにおける共同学習が効果的なものとなるための介入変数を明らかにするために、 1能力や個人差と協力の重要性に関する教示、2分業型の課題設定、3パフォーマンスに影響する個人要因に関する情報の事前開示が、学生間の評価に与える効 果を検証することである。 前年度に行った実験から、参加者の共同作業認識(共同効用、個人志向、互恵懸念)、あるいは障害に関する事前知識等により他の参加者のパフォーマンスに対する評価傾向が左右されている可能性が示され、作業設定(並行作業、並行作業+相互監視、分業作業)による効果と区別して検討する必要性が示唆された。そこで6名の大学生を対象として3つの作業設定で課題を行い、各設定回の前後で共同作業認識の評定を行ったほか、最終回のあとに「自閉性スペクトラム障害の障害特性に関する知識尺度(LS-ASD)」(酒井ほか,2014)を行った。その結果、共同作業認識は課題実施の前後ならびに実施回によって得点に変動が大きく、共同作業経験によって変化する従属変数としての側面が強いことが示唆された。LS-ASDについては参加者間の得点差が少なく、他者パフォーマンスに対する態度への影響は判然としなかった。一方、LS-ASDに付随して質問した障害児・者との接触経験の有無は他者への態度に影響を与えていることが窺われ、定量的な評価の必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
春期休業中に予定していた実験がコロナウィルスの影響で中止となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究の探索により障害に対する態度の定量的な測定の方法を検討するとともに、参加者数を増やして群間比較を行うことを予定している。実験の実施はコロナウィルスの流行の状況に大きく左右されるため、状況によっては参加者数を最小限にとどめ、物理的距離をおいた実施形態もしくはオンラインによる実施形態も模索する。
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Causes of Carryover |
前年度からの研究進捗の全般的な遅れに加え、春期休業中に予定していた実験をコロナウィルスの影響で中止としたため。
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