2018 Fiscal Year Research-status Report
知的障害のある子どもの「好み」の評価を中核とした支援方法の検討
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17K14062
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
松下 浩之 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30633789)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 知的障害 / 好み / 本人中心 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自分の意志を十分に表出できない知的障害のある子どもの好みを把握し、支援に活用するための実行可能かつ効果的な方法論を開発し、その普及と応用可能性を検討することを目的としている。平成30年度は、以下の研究活動を行なった。 1.A県内の特別支援学校教師に対して平成29年度に実施した、教育現場における好みのアセスメントを用いた支援の実態調査について、平成30年9月開催の日本特殊教育学会第56回大会においてポスター発表を行なった。結果の詳細について、学術雑誌に投稿するために準備中である。 2.特別支援学校における好みを活用した指導の実践研究のために、複数の特別支援学校において、事例協力者のアセスメントを実施した。複数名の児童生徒および担任教師に対するアセスメントの結果、保護者の同意や、児童生徒の知的発達水準やコミュニケーションレベルの点で、研究対象の基準を満たすことができなかった。他の協力者を検討中である。 3.知的障害のある子どもの好みの活動を、健常児および肢体不自由の子どもと比較するため、小学校および特別支援学校小学部に在籍する児童の保護者を対象として、放課後の過ごし方に関する調査を実施した。その結果、障害の有無や種別にかかわらず、子どもたちの多くがテレビやゲーム、動画鑑賞などをして過ごすことが多い結果が示された。一方で、小学生が行うスポーツ活動や他児との関わりのある遊びなどについて、障害のある子どもは少なく、主体的な活動を支援する場の設定が重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下のような進捗状況から、3年次研究の2年目として、本研究は当初の目的や計画に照らして、やや遅れていると判断する。 第1に、平成29年度(初年度)に実施した、特別支援学校教師に対する質問紙調査の結果について、詳細を学術雑誌に投稿する計画であったが、学会発表での議論をふまえてデータを再分析したところ、時間がかかってしまった。現在、データの再分析が終了し、投稿準備を進めている。 第2に、特別支援学校での事例研究について、予定していた研究参加者に事故があり、協力を依頼することができなくなった。また、他の対象者についても、都合が合わず、事例研究を開始することが遅れている。現在、協力者の再検討および研究方法の変更を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は研究の最終年度として、支援現場で実施しやすい好みのアセスメント方法の検討と、現場での普及可能性を検討するため、以下の研究活動を行う。 1.特別支援学校教師を対象に面接調査を行い、好みのアセスメントとその活用や現場での普及可能性についての情報を収集する。複数名から研究協力の内諾を得ている。 2.放課後の過ごし方としての好みの活動に関する調査の結果について、令和元年9月に開催の日本特殊教育学会第57回大会でポスター発表を行う。 3.特別支援学校に在籍する知的障害のある児童生徒を対象とした事例研究を行い、好みを活用した指導に関する方法論および効果等について分析する。 4.学校教員を対象として、好みのアセスメントとその活用に関する研修会を実施し、現場での普及可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた事例研究を開始することができなかったため、当該分の行動観察のための旅費や、データ分析・資料整理の謝金等に使用しなかったため。 本年度は、事例研究を実施する際に行動観察のための旅費として、また、新たに計画変更のために実施することとなった面接調査のための旅費及び謝金として使用する計画である。
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