2020 Fiscal Year Research-status Report
学童期未熟児の就学における問題の解決にむけて~医療と教育の連携~
Project/Area Number |
17K14071
|
Research Institution | Kanagawa Children's Medical Center (Clinical Research Institute) |
Principal Investigator |
阿部 聡子 (野口聡子) 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医師 (60792215)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 学童期極低出生体重児 / 特別支援教育 / フォローアップ |
Outline of Annual Research Achievements |
1)学校生活の満足度について極低出生体重児81名を対象に調査し、小学生の89%、中学生の81%、高校生の90%はとても満足・まあ満足と回答した。小学生で「とても満足」と回答したのは通常学級所属の児で29%であったのに対し、支援学級所属の児で50%を占め、必要な個別支援を受けられることは学校生活の満足度を高める可能性があると考えられた。 2)前年度に行った調査で小学校の通常学級に所属する極低出生体重児の半数は学習に困難を感じており、うち半数は通級など個別の支援を受けていなかった。その要因を明らかにするため読み書きに困難のある極低出生体重児10名について精査を行った。精査時年齢平均8歳、WISC全検査IQ平均93、ひらがな読み検査は6名に音読時間延長を認めた。5名は眼球運動異常、聴覚/視覚記憶の苦手、不器用、不注意などを複合的に伴っていた。学習の困難の要因は個々に異なり、精査により適切な学習支援方法が明らかになれば、学校での支援に繋がりやすくなると考えられた。 3)高校生となった極低出生体重児を対象に進路調査を行い19名から回答を得た。在胎週数平均27週、出生体重平均957g、医療的ケアを要する児はいなかった。進学先は全日制74%、定時制16%、特別支援学校10%であった。発達障害の合併や体力の不安から進路の選択に悩んだとの回答を5名(27%)に認め、うち1名は受験時に合理的配慮を必要とした。高校進学に際し医療的アセスメントが必要となる場合があり、フォローアップ終了時期を慎重に検討する必要があると考えられたほか、高校進学においても早産児に特有の悩みや困難があることが示唆され、長期予後の把握と保護者への情報提供は喫緊の課題と考えられた。 4)極低出生体重児保護者へ就学についての体験談を募集し81名より回答を得た。在胎週数、出生体重ごとにデータベースを作成し、ウェブサイト上に公開した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症流行に伴い、教育機関とのカンファレンスの機会を得ることが難しくなっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)研究成果の発表及び、教育機関に向けた情報の発信を行う。 2)極低出生体重児保護者から寄せられた体験談と合わせ、就学時期に生じうる問題や具体的な支援方法についてウェブサイトやリーフレットによる情報提供を行い、保護者の負担感の軽減や就学相談の円滑化に繋がるかを検討する。
|
Causes of Carryover |
教育機関とのカンファレンス開催・企画が困難であったほか、学会の延期やオンライン開催への変更があり、費用が次年度に繰り越しとなった。1 早産児の就学に関して教育機関や保護者への情報提供を目的としたリーフレット作成 2 データ整理のための人件費 3 読み書き困難症状精査に関わる物品や講習会受講費 4 延期となった学会での研究成果発表などでの使用を計画している。
|
Remarks |
早産児の育児支援についてのウェブサイトを作成した。極低出生体重児の就学状況について研究結果のまとめを記載し、就学について保護者から寄せられた相談内容について教員(横浜市、特別支援コーディネーター)より回答を得て公開した。また就学についての体験談を公開している。今後も就学準備に必要な情報を随時追加予定である。
|
Research Products
(2 results)