2021 Fiscal Year Research-status Report
学童期未熟児の就学における問題の解決にむけて~医療と教育の連携~
Project/Area Number |
17K14071
|
Research Institution | Kanagawa Children's Medical Center (Clinical Research Institute) |
Principal Investigator |
阿部 聡子 (野口聡子) 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医師 (60792215)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 学童期極低出生体重児 / 就学支援 / 特別支援教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)学童期極低出生体重児の学校生活について109名を対象に調査した。学習についての困難を回答した割合は出生体重による違いがなかったのに対し、友人関係についての困難を回答した割合は出生体重1000g未満の児で有意に多く、その背景について検討が必要と考えられた。出生体重1000g未満では1000-1499gの児と比較すると困難を感じると回答した項目数が有意に多く、保護者の困難感が強いことが示唆された。小学校入学後に語彙が増えた、友人が増えたなどおよそ7割の保護者からはポジティブな項目にも回答があり保護者が児の困難だけでなく成長にも目を向けられるようサポートすることは重要と考えられた。 2)前年度までに在胎週数23-25週で出生した児について9歳までの発達予後と就学状況の関連を調査したが、在胎週数26‐30週で出生の児についても調査を行い比較した。6歳時WISC全検査IQ正常の割合は在胎週数23-25週で48%であったのに対し26-27週で80%、28-30週では83%と高かった。また通常学級への入学は23-25週で63%、26-27週では83%、28-30週では88%を占め在胎週数が大きいほど通常学級を選択する児の割合は多かった。しかしながら小学校入学後、小学3年までに学級種別を変更した児は23-25週16%、26-27週19%、28-30週14%と在胎週数に関わらず一定数認められており、在胎週数や発達検査の結果に関わらず就学以降に個別の支援の必要性が生じ得ること、学習環境の再調整を要する可能性について保護者に周知すべきと考えられた。 3)極低出生体重児保護者から寄せられた就学および学校生活(小・中学校および高等学校)に関する体験談66件を収載したパンフレットを作成し、未就学児および小学校高学年となった極低出生体重児の保護者へ就学支援のための情報提供として配布を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス流行に伴い学校関係者と早産児の就学支援についてカンファレンスを実施することが困難な状況にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)極低出生体重児の学校生活や進学についての情報提供をウェブサイトやパンフレットにより開始したことで、保護者の困難感が軽減したか検証する。 2)読み書き困難症状について精査を行った児に関してその後の調査を行い、学校での支援がどのように変化したか検証する。 3)特別支援教育に関わる教職員を対象にこれまでの研究結果について情報提供を行うとともに、就学を協同して支援する方法について教職員からのヒアリングを行う。オンラインツールを用いた方法を検討している。
|
Causes of Carryover |
研究成果公表のための学会がオンライン開催となり旅費の使用がなかったため。 また教育関係者とのカンファレンスが実施できず使用されなかったため次年度に繰り越しとなった。引き続きデータ解析、研究成果の公表および教育関係者からのヒアリング実施のために使用予定である。
|
Remarks |
本研究で得られた早産児の就学状況や学校生活に関する調査結果について記事を作成し随時更新している。
|
Research Products
(5 results)