2018 Fiscal Year Annual Research Report
Tuning of electronic ground states of 3D nanoporous graphene by nitrogen, phosphorous, boron doping
Project/Area Number |
17K14074
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田邉 洋一 東北大学, 理学研究科, 助教 (80574649)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グラフェン / 3次元構造体 / 元素置換 / 電気2重層トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、3次元ナノ多孔質グラフェンへの元素置換によるキャリア・電子状態制御について明らかにすることである。研究初年度においては、窒素とリンをそれぞれ置換した試料を用いて電気伝導の測定を行い、置換効果が明確に観測される窒素について、次年度にドーピング依存性について詳細な測定を行った。窒素を部分置換した多孔質グラフェンにおいては、(1)母物質において支配的な正の磁気抵抗効果が減少し、負の磁気抵抗効果が広い磁場領域で支配的になる(2)ホール抵抗の傾きが正から負に変化することを、窒素置換量の増加に対して系統的に観測した。この結果は、窒素置換によるポテンシャル散乱と電子ドープの効果として理解できる。さらに、電気2重層トランジスタを用いてキャリア濃度を変調した場合の電気伝導からは、母物質と同様の両極性の電気伝導とともに、電気抵抗の最大・最小値が窒素量に対して系統的に増大することを観測した。一方で、抵抗オンオフ比は、母物質の4-5程度から2%の置換で9-10程度まで上昇しているが、平面上のグラフェンに窒素を置換してバンドギャップを開いた場合の様な高いオンオフ比を観測するには至らなかった。従って、多孔質グラフェンへの窒素ドープによって、ポテンシャル散乱の増加と電子ドープが起る一方で、窒素置換によるバンドギャップの形成については、電気伝導の測定からは明確には観測されないと結論した。窒素置換量の更なる増加によって、平面上のグラフェンと同様にバンドギャップの形成を反映した高い抵抗オンオフ比が観測される可能性があるが、高い窒素置換量において、試料の品質を十分に保つための試料作製条件の最適化が必要となる。
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