2018 Fiscal Year Annual Research Report
Control of spin current transport by using the interface
Project/Area Number |
17K14077
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
近藤 浩太 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 上級研究員 (60640670)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 界面スピン変換 / スピン緩和時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、スピン流の透過特性制御を用いて行うために、界面におけるスピン流変換機構の解明および、軽元素界面を用いたスピン流生成およびその制御を目指している。昨年度までに、ビスマスよりもスピン軌道相互作用の小さなインジウムやスズの酸化物と非磁性金属における高効率なスピン流電流相互変換現象を実現し、その実験結果を学術論文にて発表を行った(APL Materials 6 (10), 101105 (2018))。この成果は、界面におけるスピン変換現象は、構成する元素自身のスピン軌道相互作用の強さだけでなく、界面付近の原子配置や電荷分布の偏りも重要になることを示している。そこで、本年度は、計画通り、圧電基板を用いて表面弾性波によって、界面における原子配置の変位由来の界面スピン流変換現象の変調実験に取り組んだ。しかし、励起できる格子振動の変位が格子サイズの~0.1%程度であるために、変調効果の観測の観測には至らなかった。実験的に検出するためには、より高品質な多層膜の作製および、入力電力の増大が必要であることが分かった。そこで、別のアプローチとして、試料温度の変化による界面の格子ひずみ由来の変調効果について調べた。その結果、格子ひずみ以上に、金属層の電気伝導度の変化が、界面におけるスピン緩和時間に大きな影響を与えることで、変換効率が大きく変化することが分かった。銅(Cu)を非磁性層に用いた場合には、変換効率が低温(10K)において40%も上昇することが分かった。これらの結果は、当初の予想とは異なるが、界面におけるスピン変換現象特有の性質であることから、温度依存性の測定が、バルクにおけるスピン変換現象との定量的な分離法として利用できる可能性を示した。この研究成果については、現在投稿論文を準備中である。
|
Research Products
(7 results)