2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14081
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
猿山 雅亮 京都大学, 化学研究所, 特定助教 (50636628)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 水分解反応 / カチオン交換 / ナローバンドギャップ半導体 / p-n接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新規な組み合わせのナノヘテロ接合をもつナノ粒子の合成と特性評価を行った。カチオン交換による準安定スピネル型Ni3Se4ナノ粒子とヤヌス型Cu2-xSe/Ni3Se4ヘテロ接合ナノ粒子の形成メカニズムについて詳細な推察を行った。セレン化ニッケル群の中では、スピネル型Ni3Se4のみがCu2-xSe同様Se副格子が立方最密充填をとることから、Se副格子の対称性が保存された結果、スピネル構造が選択的に生成したと結論付けた。これらのナノ粒子の電気化学的な水の酸化触媒活性を評価すると、ヤヌス型Cu2-xSe/Ni3Se4ナノ粒子は、Ni3Se4ナノ粒子よりも高い活性を示すことが分かり、二相が相乗効果を示すことを明らかにした。 また、新たな光触媒候補材料としてCu2-xSと遷移金属硫化物からなるヘテロ構造ナノ粒子の合成を目指し、Cu2-xSナノ粒子を種々の遷移金属カチオンでカチオン交換を行った結果、Cu2-xS/Co9S8、Cu2-xS/Ni3S4といった新規なヘテロ構造ナノ粒子を選択的に合成することに成功した。この検討において、特異な結晶構造変化が生じることが分かった。結晶構造は触媒活性に大きな影響を与えるため、温和な条件での結晶構造変化を誘起する新たなパラメータを見出すモデル系として検討を続ける予定である。 また、狭いバンドギャップをもち、太陽光を有効利用可能なp型Cu2ZnSnS4ナノ粒子を種として用いることで、液相法によりその上に種々の異なるn型半導体(CdS、ZnSe、ZnS)を選択的に成長させることに成功し、バンド端エネルギー差が光誘起電子移動効率に与える影響の検討が可能となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規な組み合わせからなるテロ構造ナノ粒子を複数種類合成する条件を新たに見出し、また、それらを電極触媒として活性評価を行う手法を確立することができたことで、目的を達成するための下地が整ったことから、順調に推移していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討でカチオン交換によるヘテロ構造ナノ粒子の合成手法が確立し、多数の新規な組み合わせを合成できるようになったことから、最終年度は各材料の特性評価に注力し、体系的な検討を行うことで、高性能材料の探索および機能発現のメカニズムについて解明する。
|
Causes of Carryover |
光触媒向けリアクターが想定よりも安価で入手できたことで、余剰が生じた。翌年度はその分を分光測定機器の拡充に使用し、より円滑な研究遂行を図る予定である。
|
Research Products
(6 results)