2018 Fiscal Year Research-status Report
超臨界流体中でのグラフェン量子ドットの作製と光電変換フィルムへの応用
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17K14082
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加治屋 大介 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 助教 (80448258)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 光機能 / 凝縮相 / ハイブリッドフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、パルスレーザーアブレーション法を用いて機能性ナノ構造体を作製し、得られたナノ構造体を高分子フィルムに混合してフィルムの光電変換機能を向上させることである。グラフェン骨格を有する量子ドットの作製と応用を目指している。平成30年度は、種々材料を用いて凝縮相中のナノ粒子作製条件を探索し、溶液中で凝集せずに安定に保存できるナノ粒子の作製法が見出された。このナノ粒子の構造解析や生成メカニズムの計算シミュレーションの結果、コロイド溶液として安定に保存できるナノ粒子について粒子サイズ、表面修飾基、ゼータポテンシャル、レーザー照射時の温度変化、溶液中でのポテンシャルエネルギー等の観点から知見が得られた。構造解析の詳細は、動的光散乱による溶液中の粒径分布解析、振動分光、光吸収・発光スペクトル、発光寿命、光電子分光測定、電子顕微鏡観察等である。作製したナノ粒子を導電性高分子フィルムに混合すると、従来より5倍高い電荷密度を示す光電変換ハイブリッドフィルムが得られた。導電性高分子フィルム自体の機能向上も並行して実施し、フィルム構造と電気特性・光物性の関係を調べた。その結果、フィルム作製時の乾燥過程や下地基板の種類がフィルム中の凝集・配向構造に影響し、高効率電荷分離や異方的光物性の発現に寄与することが分かった。添加物を加えることでフィルムの電気特性向上も観察された。得られた知見は、国内学会、国際学会、投稿論文で発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画に沿って研究を開始し、得られた結果に基づいて研究に取り組むことができたためである。平成30年度は研究遂行に必要な実験用試薬、材料、器具、ガス、部品等を順次購入し、粒子とフィルムの作製条件探索と構造評価が進められた。作製条件については、粒子を混ぜる高分子フィルムの構造・物性評価が重点的に行われ、高分子試薬、添加剤、溶媒等を購入して凝集・配向構造と電気・光物性の関係が調べられた。構造評価では、生成した粒子のX線回折や、分光法を用いたフィルムの凝集・配向構造解析が実施された。光吸収・発光スペクトルの測定・解析に必要な光学部品を順次購入し、光機能性フィルム開発の推進、得られた結果の国内・国外学会発表、次年度に繋がる知見の蓄積が進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画並びにこれまでに得られた知見に基づき、引き続き機能性粒子・光電変換フィルムの作製法の開発を進める予定である。特にフィルムに粒子を混ぜた時に高効率光電変換を示す粒子表面構造の知見を平成30年度に得ており、この知見を発展させて粒子・フィルムの作製条件を検討、光機能性ハイブリッドフィルム開発を推進する。時間の許す限り、粒子生成・フィルム作製条件を探索し、構造と物性の関係の解析に取り組み、光機能性フレキシブルハイブリッドフィルムの機能向上に向けた研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
学会発表の旅費を計上していたが、参加予定であった学会の開催が年度末3月から次年度4月に変わったため、その分の次年度使用が生じた。次年度4月の学会発表の旅費として使用する計画である。
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