2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a nanopore trapping method for comprehensive analysis of single-cells
Project/Area Number |
17K14098
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有馬 彰秀 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教(常勤) (20781347)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノポア / イオン電流 / 電気泳動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナノスケールの細孔(ナノポア)による電気的単一粒子捕捉技術(ナノポアトラップ法)を一細胞解析へと発展させることを目指した。 本年度は、ナノポアトラップ法において捕捉された検体の挙動を調べるため、2種の異粒径カルボキシ基修飾ポリスチレン標準微粒子の捕捉を行い、ポアを流れるイオン電流コンダクタンスの電圧依存性を確認した。各検体の形状は同じであることから、同様の依存性を示すと考えていたが、実際にはその傾向は大きく異なっていた。詳細な解析のため、有限要素法によるシミュレーションを行ったところ、コンダクタンスは類似しているものの、粒子位置が乖離している電圧条件が存在した。それぞれのζ電位は類似していたことから、体積の支配的な寄与が示された。また、粒子挙動とコンダクタンスは対応していることが明らかとなり、溶液中においても、電圧制御を介して粒子の位置制御が可能であることが示唆された。加えて、追加で行った多種粒子計測から、ナノポアトラップ法では体積・表面電荷の両方の要素が関与しており、一方を指標とした識別には他方が類似している必要があることも明らかとなった。 以上本研究により、ナノポアトラップ法による一細胞の捕捉および、単一粒子の体積を指標とした識別を実証するとともに、溶液中におけるナノ-マイクロスケールでの粒子位置制御の展望を拓いた。微小な検体を体積等の情報を得ながら捕捉できるとともに、位置制御可能であることは、他の分析手法との組み合わせにおいても有用であると考えられる。本研究により、ポアというナノ空間において、電気泳動力や電気浸透流の抗力のバランスを介して、検体体積の違いがイオン輸送へと与える影響について知見が得られた。また、本研究成果は、近年問題となっているPM2.5等の空気中有害微粒子や、海洋中マイクロプラスチックなどの分析にも寄与すると考えられる。
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