2017 Fiscal Year Research-status Report
大伸縮する永久磁石エラストマーの磁気レオロジー調査と環境振動発電への応用
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17K14107
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩本 悠宏 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30707162)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 永久磁石 / 粘弾性体 / レオロジー / 環境振動発電 / 永久磁石エラストマー |
Outline of Annual Research Achievements |
3次元的に大伸縮しかつ高い残留磁化をもつ永久磁石エラストマエラストマーを創生するため,粒子径および濃度の異なるネオジウム微粒子を分散した永久磁石エラストマーを作製した。パルス励磁型磁気特性計測装置を用いて,試料を着磁し,その効果を磁気力顕微鏡により可視化し,着磁を確認した。また,パルス励磁型磁気特性測定装置を用いて,作製した試料の磁気異方性を磁化―磁場曲線を計測することで評価した。その結果,ネオジウム微粒子の濃度が増加するに伴い残留磁化および保持力が増加することを明らかにした。また,3次元CTスキャンを用いて着磁前後の内部構造を明らかにした。着磁前はネオジウム粒子は安定的にエラストマー内部に分散するのに対し,着磁後は粒子同士の磁気双極子作用力により引力が作用し,ネットワーク構造を形成することを明らかにした。 永久磁石エラストマーの最大の特徴は,磁気異方性を有し,かつ可逆的な大伸縮を可能とする粘弾性体である点である。そこで,その動的な機械的性質(貯蔵弾性率と損失弾性率)と磁気特性を同時に計測し得る磁場検出型レオメーターを試作し,上記性質・特性を計測する環境を整備した。また,ガウルメーターを用いることで変形時の表面磁束を計測した。その結果,試料を圧縮することで表面磁束が劇的に減少する(広義の逆磁歪効果)を確認した。また,圧縮過程の磁気特性の変化を理論的に考察するため,ビオサバールの法則に基づく理論解析を行い,上記逆磁歪効果は,圧縮に伴い着磁されたネオジウム微粒子が並進・回転することに起因することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の①粒子径・濃度の異なるネオジウム微粒子を用いた永久磁石エラストマーの作製,②磁気異方性の静的・動的な機械的性質と磁気特性への影響調査,③伸縮過程における内部構造の実験的可視化,④伸縮過程における内部構造の数値解析技術の確立と機械的性質と磁気特性への影響解明において,計画通りの進捗を得た。内部構造の実験的可視化においては,当初計画では暗視野顕微鏡により可視化を実施する予定であったが,当該装置では2次元的な可視化しかできない点,またより高精度な可視化を実現するため,3次元CTスキャンによる可視化に変更し,着磁前後の内部構造の可視化に成功した。以上より,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に引き続き,①粒子径・濃度の異なるネオジウム粒子を用いた永久磁石エラストマーの作製,②磁気異方性の静的・動的な機械的性質と磁気特性への影響調査,③伸縮過程における内部構造の実験的可視化,を行う。④伸縮過程における内部構造の数値解析技術の確立と機械的性質と磁気特性への影響解明では,引き続き基礎解析コードの開発を行い,その後,可視化結果との比較検証を行い数値解析の妥当性を検証する。
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