2018 Fiscal Year Annual Research Report
Band-shape engineering of thermoelectric materials for high thermoelectric efficiency
Project/Area Number |
17K14108
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
臼井 秀知 大阪大学, 理学研究科, 招へい研究員 (10722902)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱電効果 / 第一原理計算 / バンド構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
[1]層状構造を持つ結晶構造の電子状態を最適化する「バンド形状エンジニアリング」により、熱電効果の性能向上を目指した理論研究を進めた。122系Zintl層化合物と呼ばれる物質群の理論計算の結果について実験を主とする研究者と議論を行った。その結果、122系Zintl層化合物の一つであるBaCd2As2が合成可能な高性能物質の候補として挙がった。その後実験において、熱電物質の性能を示す無次元性能指数が高温で0.81に達することが判明し、理論と実験の協力によって新しい熱電物質の発見に成功した。この結果はDalton Transaction誌に掲載された。 [2]また、高性能熱電物質として知られるBiCuSeOと同様の構造を持つ層状物質である、LaZnAsOについても研究を行い、LaをYに置換し、ホールドープすることが出来れば大きな電力因子が得られることを示した。 [3]層状構造を持つデラフォサイト型物質PtCoO2は、酸化物にも関わらず非常に大きな電気伝導率を持つ。この特徴を熱電効果に活かすことが出来るのではないかと考え、大きな電気伝導率の起源について研究を行った。その結果、この大きな電気伝導率は、Ptのs,p軌道とd軌道の3種類の軌道が混成することにより生じることが判明した。s,p軌道が大きな電子の群速度を生み出し、d軌道が電子の散乱を抑制していることがわかった。この結果をPhysical Review Materials誌に掲載された。また、この物質は、「プリン型バンド構造」と呼ばれる熱電効果に有利な電子状態であることがわかった。PtCoO2それ自体は金属であり熱電物質としては適していないが、仮に電子緩和時間が維持されたまま物質中の電子量が制御可能であるとすると、実用化熱電物質であるBi2Te3系の10倍以上の電力が得られることがわかり、新しい高性能熱電物質を理論的に提案した。
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Research Products
(8 results)