2017 Fiscal Year Research-status Report
セラミックス薄膜の水素透過特性制御-水素遮蔽材料と水素透過材料への応用
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17K14114
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
國貞 雄治 北海道大学, 工学研究院, 助教 (00591075)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水素脆化 / 拡散 / セラミックス / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,鉄鋼材料中に含まれる元素であるAl, Si, Fe, Cr, Tiの酸化物及び窒化物に着目し,13種類のセラミックス材料を取り扱った.これらのセラミックス材料における水素の侵入特性に関して研究を行った.まず,原子空孔や置換元素を含まないバルク材料中での水素の最安定な吸着構造を決定した.得られた吸着構造における電子状態の解析から,典型元素(Al,Si)の酸化物及び窒化物中では水素とバルク材料間に結合を形成しづらく,水素が固溶しづらいことを明らかにした.一方,遷移金属(Fe, Cr, Ti) の酸化物及び窒化物中では水素とバルク材料間に結合が形成され,典型元素の系と比較し水素が固溶しやすいことを明らかにした.このとき水素原子は,酸化物中ではOと共有結合を,窒化物中ではバルク材料から電子を受け取り負に帯電し,水素原子の周囲に存在するカチオンと静電相互作用による結合を形成する傾向があることを明らかにした.また,多くのセラミックス材料において原子空孔やカチオンサイトもしくはアニオンサイトに置換元素が存在する場合,余剰電子や正孔が導入され,これらの影響により水素とバルク材料間に結合が形成されやすくなることを明らかにした.ここから,水素原子の固溶特性の原子空孔及び置換元素依存性を系統的に明らかにした.さらに,バルク材料に加え,窒化チタンのナノ界面中における水素原子の吸着状態や拡散特性も調査し,ナノ構造の影響を明らかにした.加えて,水素遮蔽膜として有望な層状セラミックス材料であるMXeneの触媒担体としての応用の可能性も検討した. これらの成果を3報の査読付き原著論文,2件の国際会議,及び7件の国内会議にて発表し,うち1件は依頼講演である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は密度汎関数理論に基づく第一原理電子状態計算手法により,セラミックス材料中への水素原子の侵入特性における原子空孔及び置換元素の影響を解明した.5種類の元素の酸化物及び窒化物を考慮し,13種類のセラミックス材料を取り扱った.これらのセラミックス材料中のアニオンサイトとカチオンサイト双方の原子空孔及び置換元素について系統的に研究を行った.得られた知見は,セラミックス材料の水素遮蔽膜及び水素透過膜としての応用において非常に重要なものである.また,バルク材料のみでなく,セラミックス材料界面における水素原子の吸着状態とその拡散特性を明らかにした.以上の点から,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度までに,密度汎関数理論に基づく第一原理電子状態計算手法を用いて,セラミックス材料中の水素原子の安定吸着サイトと吸着エネルギーの置換元素依存性について明らかにした.平成30年度はこれらの知見に基づき,セラミックス材料中での水素原子のより詳細な拡散特性を調査する.このとき,原子拡散の活性化障壁を正確に求めることができるClimbing Image Nudged Elastic Band法を用いる.また,計算に用いるスーパーセルを大きくし,原子空孔や置換元素の濃度依存性も明らかにする.
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Research Products
(12 results)