2017 Fiscal Year Research-status Report
光干渉断層計を用いた網膜光凝固術の自動最適化法の開発
Project/Area Number |
17K14121
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
巻田 修一 筑波大学, 数理物質系, 助教 (50533345)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 網膜光凝固術 / 光干渉断層計 / 組織変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
光凝固用レーザーと光干渉断層計のプローブ光を合波するプローブを作製した。これにより、レーザー照射中の OCT 信号の取得と、レーザー照射後の組織変性により生じる光凝固斑の計測を行うことが可能となった。レーザー照射中に生じる組織の変形と変性を、光干渉断層計を使って実時間で評価することを可能にするため、M-mode スキャンから求めた局所光路長変化を使って組織の変形・変性量を表すメトリックを開発した。 摘出した豚眼を用いて、凝固レーザーの出力と照射時間を変化させて、凝固斑生成の有無と、レーザー照射中のメトリックの変化との関係を調べた。照射前後の光干渉断層計画像から、レーザー凝固斑を分類した。その結果、光干渉断層計により求めたメトリックはレーザー照射後の凝固斑生成の有無と関係が深いことが示された。また、凝固レーザーの出力・照射時間と凝固斑生成の間との関係と比べても、より深い関係があることが示された。これにより、光干渉断層計で計測される開発したメトリックは、凝固レーザー照射中に光凝固術の終了時点を判定する際の良い指標の一つなる可能性が示された。 また、設計した単一のメトリックだけでなく、レーザー照射中の局所光路長変化のプロファイルから抽出される様々な特徴量を用いいることで、レーザー凝固斑の生成の有無だけではなく、生成される凝固斑のサイズを良く予測できるモデルが得られことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の目標である、光干渉断層計を用いたレーザー損傷の定量化はある程度成功した。摘出した豚眼に対してではあるが、レーザー照射終了時点の組織変形メトリックとレーザー照射終了後に確認されたレーザー凝固斑の間に強い関係があることが統計的に確認された。装置は当初予定していた波長掃引型光干渉断層計ではなく、分光器型光干渉断層計を用いた。これは局所光路長計測に必要となる、光干渉断層計の信号位相を安定して検出することに手間取ったためである。しかし、使用する光波長と検出速度はほぼ同じであるため、研究目的にとって本質的な違いはない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り、光凝固術の予後を良く予測できるモデルの開発・改良や有効な特徴量・光学特性の探索を進める。動物実験を行い、生体中で組織変性のモニタリングが可能かどうかの検証と問題点の洗い出し、解決策の考案とそれに基づく装置・アルゴリズム・レーザー凝固斑の予測モデルの改良を進める。また、レーザー照射中のモニタリング結果をフィードバックして凝固レーザーの制御が可能な装置の構築を行い、開発した組織変性のメトリックや予測モデルによるレーザー凝固斑制御の性能と可能性を検証していく。
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Causes of Carryover |
当初、実時間計測と演算のため、FPGA 搭載装置の構築を計画していたが、研究遂行に当たって時間がかかりすぎるため、ソフトウェアとアルゴリズムの改良によって対処したため装置構築に当てられていた予算額の多くが次年度に持ち越された。その分、凝固レーザー導入の光学系と光干渉断層計プローブの変更に当て、レーザー照射条件と光干渉断層計プローブの光学パラメータを変更できるようにして、レーザー凝固制御装置の特性の調査と最適化を行う予定である。
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