2017 Fiscal Year Research-status Report
ファイバ共振器による高品位な高繰り返し化ファイバコムシステムの開発
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17K14122
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
中嶋 善晶 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 特任助教 (90733072)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光周波数コム / ファイバコム / モード同期ファイバレーザー / モードフィルタリング / 高繰り返し化パルス列 / 量子エレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、長尺ファイバ共振器による全ファイバ型モードフィルタリング技術の原理実証を行った。 まず、増倍率Mと整数m、繰り返し周波数frep、共振器のFSRの間の関係式、Mxfrep=(M+m)xfrepに基づき、ファイバ共振器の設計手法を確立した。これにより、モード同期Erファイバレーザーのfrepが48.7 MHz(パルス間隔距離6.1 m)に対して、増倍率M = 11、整数m = 1とすることで、ファイバ共振器のFSRは44.7 MHzとなり、ファイバ共振器長は6.7 mとなる。このように、パルス間隔距離よりも長い共振器においても、増倍率11倍でのモードフィルタリングが可能となる。したがって、ファイバ共振器の短尺化における物理的な制約を克服することが可能である。 次に、ファイバ共振器の分散補償を行うために、分散補償ファイバとシングルモードファイバとの間に中間ファイバを導入することで低損失な融着技術を確立した。これにより、分散補償がなされたファイバ共振器のフィネスを向上することができた。 これらの確立した技術を基に、全ファイバ型の2段モードフィルタリングシステムを構築し、アライメントフリーで簡便なシステムを実現した。これを用いて、frep = 48.7 MHzのコムを基に、536.0 MHz(=11x48.7 MHz)の高繰り返し化コムを、サイドモード抑制比25dBで発生することができた。 今後は、更なる融着技術の開発と共振器安定化技術の開発を進め、全ファイバ型のモードフィルタリングの高度化を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
長尺ファイバ共振器を用いたモードフィルタリングのアイディアは、これまでに提案・実証はされておらず、世界に先がけて提案・実証を示すことができた。特に課題となったのが、ファイバ共振器の分散補償のために、分散補償ファイバとシングルモードファイバを融着することである。2つのファイバはモードフィルド径が大きく異なるため、直接融着を行うと損失が大きい。これに対して、モードフィルド径が中間のファイバを間に挟むことで、融着損失の低減に成功した。これにより、分散補償がなされたファイバ共振器のフィネスの向上に成功し、長尺ファイバ共振器において、増倍率11でのモードフィルタリングを、サイドモード抑制比25dBで実現した。これらの技術により、例えば市販のモード同期ファイバレーザーでfrep=250 MHzものを用いれば、2.75 GHzの高繰り返し化コムの発生が、全ファイバ型構成で可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、ファイバ共振器の増倍率をさらに増やし、低frepコムからGHzコムの発生を目指す。具体的には、frep=48.7 MHzのコムから、増倍率21で1.02 GHzの高繰り返し化コムの発生を行う。ただし増倍率を増やすことで、高繰り返し化コムのサイドモード抑制比の劣化が予想される。そこで分散補償ファイバとシングルモードファイバの融着損失の低減化をさらに進め、ファイバ共振器のフィネスを向上し、高増倍率での高いサイドモード抑制比の実現を目指す。 次に、ファイバ共振器の安定化技術を確立する。当初の予定通り、まずは従来手法の電気光学位相変調器を用いたPDH法や偏光を用いたHaensch&Couillaud手法を適用する。
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Causes of Carryover |
旅費については、別予算から支払ったため使う必要が生じなかった。 その他については、物品購入時の値引きが大きく、当初計画よりも支出が抑えられた結果、端数が生じた。 ファイバー部品や光学素子などの消耗品費として使用する予定である。
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