2017 Fiscal Year Research-status Report
通信波長帯単一光子源の高速化に向けた光周波数コムの開発
Project/Area Number |
17K14130
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
和久井 健太郎 国立研究開発法人情報通信研究機構, 経営企画部企画戦略室, プランニングマネージャー (90536442)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 量子光学 / 光周波数コム |
Outline of Annual Research Achievements |
単一光子は、光パラメトリック増幅(OPA)で生成可能であり、各種の量子通信実験において必要不可欠なリソースとなっている。1.5 μm通信波長帯の単一光子生成では、OPAの励起光源としてモード同期チタンサファイアレーザー(中心波長770-800 nm)がしばしば用いられるが、その繰り返し周波数は通常数10~100 MHz程度であり、単一光子生成レートのさらなる高速化を目指す際のボトルネックの一つとなっている。そこで、本研究では、この限界を打破するOPA励起光源として、繰り返し周波数10 GHz以上かつ平均出力Wクラスの光周波数コムを中心波長775 nm帯において開発する。本提案が実現すれば、従来と比較して100倍以上の単一光子生成レート高速化が図れるのみならず、各種の光周波数計測への応用が拓ける。この実現に向け、今年度は基礎光学系の設計及び構築を行うとともに、空間光位相変調器等を用いた775 nmコムのパルス幅可変化のための光学系や、和周波発生のための光学系を構築し、775 nmコムの諸特性を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は光源・第2高調波発生・光増幅器からなる基礎光学系を設計・構築した。ここでは、数10 mWの基本波コム(パルス幅~ps)から第2高調波発生により数mWの775 nmコムを生成し、さらに光増幅器で平均強度を1 W程度まで増幅している。増幅後の775 nmコムのパルス幅は~10 ps程度であった。次に、空間光位相変調器等を用いた775 nmコムのパルス幅可変化のための光学系や、和周波発生のための光学系を構築し、775 nmコムの諸特性を評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度構築した光学系を用いて引き続き775nm コムの諸特性の評価を行うとともに、その最適化に取り組む。また、パルス諸特性の最適化が完了した後に、単一光子生成実験を行い単一光子生成レート高速化の実現を目指す。以上の実験は次年度中に完了し、学会発表および論文化を行う予定である。
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Causes of Carryover |
初年度の研究計画を実施した結果、当初計画において初年度の購入を予定していた一部の物品については、初年度の実験結果を考慮した上で選定する必要があると判明したため。当該物品は次年度に購入する予定である。
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