2017 Fiscal Year Annual Research Report
TiO2の選択的格子振動励起の直接的観測および電子状態への影響の解明
Project/Area Number |
17K14132
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉田 恭平 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 特定事業研究員 (60750453)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 選択的格子振動励起 / 中赤外レーザー / ハイパーラマン散乱分光 / 二酸化チタン / フォノ二クス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アンチストークスハイパーラマン散乱分光法を用いて、二酸化チタンの中赤外パルスレーザーによる選択的格子振動励起の直接観測を行うことを目的とした。まず、アンチストークスハイパーラマン散乱分光を行う上で必須となる光学系の構築を行なった。光学系には、Nd-YVO4レーザーを励起光とした色素レーザーを用いた。本研究期間内に、色素レーザーユニットを購入し光学系に組み込み、励起光を532 nmとして波長変換の確認し、二酸化チタンのハイパーラマン散乱分光の励起光とする796 nmの発振を確認した。次に、これまでの手法で用いていた穴あき放物面ミラーによる中赤外レーザーとプローブ光の同時照射システムを、より高効率かつ容易に励起光およびラマン散乱光を伝送・捕集するために、ITO透明基板を用いた中赤外レーザー・プローブ光の同軸光学系を構築した。 また、Nd-YVO4レーザーを用いたラマン散乱による選択的格子振動励起の実証を行う上で問題となっていた中赤外レーザーとプローブ光の照射による和周波を、同時に観測される差周波およびストークスラマン散乱分光によって分離し、目的のアンチストークスラマン散乱のみを抽出して観測する技術を確立した。その技術をSiCを用いたサンプルに適応し原理実証を行なったところ、アンチストークス散乱光のみの抽出に成功した。これら結果より、本研究期間において、ハイパーラマン散乱分光によるアンチストークスラマン散乱を用いた選択的格子振動励起のための基盤システムを構築した。
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Research Products
(2 results)