2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a neutron resonance spin flipper with large beam acceptance
Project/Area Number |
17K14133
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小田 達郎 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (70782308)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 偏極中性子 / 磁気共鳴 / スピンフリッパー / 量子状態操作 / 中性子スピンエコー法 |
Outline of Annual Research Achievements |
静磁場と高周波振動磁場による磁気共鳴を利用して,中性子のスピン状態を制御するデバイスは共鳴スピンフリッパーと呼ばれ,中性子スピンを利用した様々な測定手法の精度を決定づけるキーデバイスである. 共鳴スピンフリッパーを構成する静磁場および高周波振動磁場中を飛行することで起こる中性子スピン固有状態間の位相差をシミレーションする計算コードを作成した.これを用いて,とくに静磁場や振動磁場が理想的な境界を持たない場合,その空間的な広がりが位相差やスピンフリップ率にどのような影響を及ぼすかを調査した. 共鳴スピンフリッパーの応用として,中性子スピンエコー法と呼ばれる,中性子の微小な速度変化を検出する分光手法に関する実験を行った.複数の共鳴スピンフリッパーを用いたスピンとエネルギーに関する状態操作によって,エネルギー差のある中性子重ね合わせ状態が実現できる.この重ね合わせ状態を偏極解析することで中性子強度の時間振動が観測できる.このシグナルの振動数を精密測定することで,フリッパー間に存在する磁場の大きさや物質の中性子屈折率を測定することができる.この手法の利点として,振動数シフト量がエネルギー差やフリッパー間距離によって調整できるため,測定対象となる磁場の大きさや屈折率のダイナミックレンジが変更可能であるという点がある.この点について,観測された振動数シフト量が解析的な予想と精度よく一致することを実験的に示すことができた.
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Research Products
(6 results)